2014 Fiscal Year Research-status Report
海外ノンネイティブ日本語教師のビリーフ変容過程に関する縦断的研究
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25370608
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Research Institution | Osaka University of Tourism |
Principal Investigator |
坪根 由香里 大阪観光大学, 観光学部, 准教授 (80327733)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小澤 伊久美 国際基督教大学, 教養学部, 講師 (60296796)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ビリーフ / 変容 / ノンネイティブ日本語教師 / タイ / PAC分析 / 複線径路・等至性モデル / 発生の三層モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本語を母語としない日本語教師の「いい日本語教師」に関するビリーフの変容過程とその要因を通時的視点で明らかにすることを目的としている。 調査は、タイの大学で日本語を教えるタイ人日本語教師を対象に、①新人教師2名を含む4名に対しては、PAC分析を使用した縦断的調査、②中堅・経験教師4名に対してはビリーフの変容の経路やそれに影響を与える力を図式化するためのインタビュー調査を実施している。図式化の際には、「複線径路・等至性モデル(Trajectory Equifinality Model:TEM)」および「発生の三層モデル(Three Layers Model of Genesis:TLMG)」を援用している。 平成26年度は、①前科研からの継続協力者2名に対して、平成26年8月、平成27年3月の2回、今回の科研で新たに加わった新人教師2名に対しては、平成27年3月の1回、PAC分析を実施した。また、②中堅教師1名・経験教師1名に対して、前年度のインタビューに関するフォローアップインタビューを実施した。フォローアップインタビューでは、協力者の経歴、および、それまでのインタビューから抽出されたビリーフとそのきっかけを時系列に図式化したものを示しながら、時期や内容の確認を行った。 中堅・経験教師に対するインタビューは平成26年度で終了し、現在は、どのような行動・出来事・状況(第1層)から、どのような気付き(記号)を得(第2層)、それがビリーフ(第3層)になっていくのかというTLMGを使用して、分析を行っている。その中の中堅教師1名の結果については、図の最終的な確認を協力者本人にEメールで行ったうえで、平成27年3月21日にタイで行われた「タイ国日本語教育研究会第27回年次セミナー」において口頭発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
縦断的調査に関しては、新人教師2名の大学では、学年暦変更に伴い、平成26年3月から8月まで授業がなかったため、平成26年8月の調査は行わなかった。そのため、2回の調査の予定が1回になってしまったが、その他の2名は予定通り2回の調査を実施することができた。 中堅・経験教師に対する調査は、予定通り4名全員がフォローアップインタビューまで終了している。また、そのうち1名の分析を終えて、タイで行われた研究会において発表を行い、現地の先生方と研究成果を共有するとともに、問題意識を確認することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は最終年度に当たるため、8~9月に4名を対象に最後の縦断的調査(PAC分析)を実施し、平成28年1月までにそれまでの4~5回の調査結果を分析して、2月にフォローアップインタビューを実施したいと考えている。 中堅・経験教師に対する調査については、中堅教師1名の分析が終了しているが、残り3名の分析も進めていく。各教師のデータの分析が終了した後は、まず中堅教師2名のビリーフの中から特定の観点に関するものを取り出し、その図式化を試みる。その後、経験教師2名に関しても同様に行う。 研究成果は、学会・研究会等で発表する予定である。
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Causes of Carryover |
平成27年3月に行った4名のインタビューの文字起こし作業が、平成26年度には間に合わなかったため、平成27年度に回すこととした。 また、本研究では、海外で縦断的調査を行っており、平成27年度も2回の訪タイを予定している。さらに、研究成果発表を行うための旅費も必要となるが、平成27年度の支給額は十分でないため、平成26年度使用額を次年度に繰り越すことで対応する。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年3月に行った4名のインタビューの文字起こし作業を業者に依頼する。 タイでの調査は、当初の予定通り調査者2名で2回実施する。また、研究成果を発表する際の旅費として使用する予定である。
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