2014 Fiscal Year Research-status Report
オンライン「国際協力的」と「国際共同的」語学学習方法の比較
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25370613
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
HAGLEY ERIC 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (60466472)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 国際協力的オンライン語学学習 / 国際共同的オンライン語学学習 / Virtual Exchange |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年7月、本研究の代表者と庄司教諭、オンライン学習に詳しいヘネベリー教授(島根県立大学)、清水教授(富山高等専門学校)の4名が室蘭工業大学に集い、研究会を実施した(研究会実施直前及び直後の2回にわたり、代表者はコース内容やシラバス等、研究全般に関し、庄司教諭と意見交換・調整を行った)。また、上記研究会の実施と平行し、日本全国から参加した15名の教員を前に本研究に関する発表も行った。当初の予定とは異なり、ハノイ建築大学がベトナム政府からの要求もあって英語カリキュラムの変更を余儀なくされ、4週間の集中講義という形でしか参加できなくなった。その代わりに国際共同的オンライン語学学習で交流校として参加したのは、コロンビアSENA国立教育機関とマレーシア国立大学である。国際協力的オンライン語学学習は計画通りに庄司教諭と平成26年10月から翌年の1月まで「国際共同的」と「国際協力的」オンライン学習を実施することとした。参加校の教員と学生たちの協力を得、教育管理システム「ムードル」に関するプロジェクトを実施したが、その結果明らかとなったのは、実践的に学習している言語を利用し意見交換を行うことは可能であるということであった。そこから得られたデータが示しているのは、国際共同的学習方法と比較した場合の国際協力的な学習方法の優位性である。しかしながら、オンライン学習実施後のアンケートを見ると、両学習方法に対する学生たちの評価は非常にポジティブなものであった。現在では、学内・学外を問わず多くの教員がこの学習方法に大きな関心を示すようになり、その発展に向けた活動に取り組み始めている。代表者は今回の結果に関して数編の論文を作成するとともに、韓国においては基調プレゼンテーションを行い、米国のACTFL学会においても発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基本的に計画通り進展している。計画に記したようにベトナムの学校だけでなく、それ以外の国の学生とも国際共同的語学学習を実施した。今回は、コロンビアSENA国立教育機関とマレーシア国立大学がそれに加わっている。その交流結果も今後データとして活用する予定である。また、国際協力的語学学習プロジェクトにおいては、ウーロンゴン大学(オーストラリア、ニューサウスウェールズ州)や本学の姉妹校であるロイヤルメルボルン工科大学の日本語専攻学生との間でもオンライン交流を実施した。相手国の学生数が大きく増加したこともその背景にあるが、歓迎すべきことに本学の他の英語教員や他大学の教員と学生もこのプログラムに参加するようになっている。その結果もデータとして活用する予定である。以上のことから、次年度はこれまで以上の成果が期待できるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、前年度に得られたデータと学生からのフィードバックを元に両学習方法に改善を加え、更なる発展を目指す。本学において、学生が1年時と3年時(オンライン交流参加後)に受験するTOEICのIPテストの結果を比較すれば、本プロジェクトの効果の有無は明確なものとなるはずである。当然のことながら、学生の「英語を学ぶ意欲」や「異文化間コミュニケーション能力」の変化に関する評価も欠かすことは出来ない(時間的余裕があれば、Byramメソッドを用いた学生の異文化間コミュニケーション能力に関する評価も行いたいと考えている)。その結果を分析することは、両学習方法の有効性を評価するために重要である。米国においては2013年、コミュニケーション・文化・コネクション・比較・コミュニティーという語学教育のための5つの学習目標を柱とするWorld-Readiness Standards for Learning Languages が策定されている。オンライン言語交流を対象とする本研究も、その基準を満たすことを目標としている。また、TOEICテストの結果及び異文化間コミュニケーション能力、学生へのアンケート調査を分析すれば、両学習方法の有効性に対する総合的評価が可能となるであろう。その結果を踏まえ、将来のあるべきオンライン交流像を目指し、共同研究者たちと共に慎重に研究を進めて行く。今年度は論文の作成以外に、APVEA(アジア太平洋ヴァチュアルエクスチェンジ協会)を設立し、その第一回目学会を本学で開催し、本年8月にハーバード大学でIALLTとLETとが共同開催する学会において総合的な結果に関するプレゼンテーションを行い、11月にはJALTで発表する予定である。
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Causes of Carryover |
ベトナムの姉妹校ハノイ建築大学がベトナム政府からの要求があって英語カリキュラムの変更を余儀なくされ、4週間の集中講義という形でしか参加できなくなったため、本研究に参加することができなくなった。そのため、ハノイ建築大学の教員が来日することはなく、費用が余った。一方、コロンビアとマレーシアの教員とのオンライン打ち合わせが増え、実際の研究に影響はなかった。歓迎すべきことに、コロンビアの教員はコロンビア国内の他の教員に本研究を紹介し、プログラムを広げた。そのお陰で本学の他の教員と他大学(帯広畜産大)の教員も参加することが出来た。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
コロンビアの教員はオンライン語学学習と交流について研究の関心があり、コロンビア政府教育機関SENAの役員もこのプロジェクトに関心を持ち、コロンビアでの研修会と学校訪問を計画した。ハーバード大学の発表のあとコロンビアにて3泊2日訪問で経費を使う予定である。
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