2014 Fiscal Year Research-status Report
マウス軌跡情報の記録・検索・分析を通した学習支援システムと教材の開発に関する研究
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25370621
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
厨子 光政 静岡大学, 情報学研究科, 教授 (90187823)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 佳典 静岡大学, 情報学研究科, 准教授 (00308701)
法月 健 静岡産業大学, 情報学部, 教授 (30249247)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | e-ラーニング / 英語学習支援システム / マウス軌跡情報 |
Outline of Annual Research Achievements |
本基盤研究(C)においては、平成25年度より、同じ正解答であっても自信を持った解答と自信がなく迷ったあげくに偶然正解した解答を判別するために、「英単語並べ替え問題」(与えられた英単語をマウスによるドラッグ&ドロップで並べ替えて正しい英文を作る問題)を使って実験を行い、学習者のログデータを分析している。「正解答群」のなかから「迷いを持ちながら偶然正解した解答」を抽出する確実な指標となりうるマウスの特徴的動きとして、従来の「解答時間」に加え、「解答中のマウスの静止時間」、「ある単語をドロップしてから次に動かす単語を探す時間(Drop-Click時間)」が測定できるようにシステムを改良し、20人の学生を対象として実験を行った。そのデータを分析した結果、「静止時間」と「D-C時間」ともに、学習者の解答時の「迷い」との強い共起性があることが確認された。正解答群の中で、迷いの強い/弱い解答の分布を「静止時間」および「D-C時間」との関連で箱髭図に表し整理した。これら一連の実験・分析・考察は、国内外の学会・学会誌において発表され、一定の評価が得られた。 これまでの研究で、迷いとつながる特徴的なマウスの動きはおおよそ特定できるようになってきたと考えられるが、分析の対象としたデータはそれぞれの実験で収集した解答群全体であるため、「学習者グループとしての迷い」を探ってきたということになり、まだ「個人レベルでの迷い」を探るには至ってないと言わざるをえない。個々の学習者の迷いを特定するために、実際の迷いがどこで生じたかを学習者に自己申告させ、その「申告された迷い」がどのようなマウスの動きになるかを分析する必要がある。「申告された迷い」のデータはある程度収集できたものの、量的にもまだ十分ではなく、今後も実験を続けてデータ収集に努めるとともに「個人レベルでの迷い」の分析に移る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の最大の目標は、「個人レベルの迷い」を分析するために、 1.Webアプリケーションに迷いの箇所(単語)を申告させる機能を実装し、 2.そこから得られたデータとシステムが迷いと判断した箇所(単語)とを照合させ分析すること、 の2つであった。これらの目標は、さらなるデータ収集とこまかな分析が必要ではあるが、おおむね達成できたといえる。1については、一人ひとりの学習者に聞き取り調査を行って解答中の迷いを確認するという時間のかかる作業を省くために、学習者がシステム上で迷いの箇所(単語)を申告することができるようにシステムを改良した。この点においては、目標をしっかりと達成できた。しかしながら、自己申告の際に、どの程度の迷いを申告するかは学習者任せであったため、2の目標である、システムが迷いと判定したマウスの動きとを十分に照合するには至らなかった。再現率・適合率を計算して数値的に評価を下すには、迷いの申告を1か所(1単語)に限定する、あるいは、迷いの程度をも申告させるなどのさらなる工夫が必要である。以上のことから、いくぶんの課題を残してはいるものの、26年度の目標はおおむね達成されたものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終目標は、英単語並べ替え問題において、学習者の理解度を解答時のマウスの軌跡情報から判別するWebアプリケーションを完成させ、正誤式の評価方法では検出できない「迷いを含む偶然の正解」を判別して、より精度の高い評価システムを設計することである。まずは、個人レベルの「迷い」を判定する際の精度を上げるために、「迷いの自己申告システム」を改良した上でデータを収集するための実験を行い、申告された迷いと「システムが迷いと判定したマウスの動き」を照合し、その結果をもとに、迷いと深くかかわるマウス軌跡のパラメータを利用して「迷いの指標」の設定方法を探る。 次に、学習者の弱点克服に有益な「ジャンル別問題」が提供できるように、練習問題数を増補するなど、システムの試行に向けた準備を進める。
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Causes of Carryover |
計画していた研究会への出張が、他の用務と重なったため中止となり、執行できなかった助成金が残額となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度の助成額は、前年度と比べて10万円減の予定となっているので、繰り越し分の助成金41,917円を減額分への補充として、平成26年度とほぼ同じ研究活動を行う計画である。
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Research Products
(6 results)