2015 Fiscal Year Research-status Report
中学校英語の音声インプット量分析に基づく音韻語データベースの構築
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25370622
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
村尾 玲美 名古屋大学, 国際言語文化研究科, 准教授 (80454122)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神白 哲史 専修大学, ネットワーク情報学部, 准教授 (90439521)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 中学英語検定教科書 / 聞き取り / 音韻語 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年2月から平成28年1月末日まで研究代表者が産前産後・育児休暇を取得したため、平成27年は1年間研究を休止した。本報告書においては、平成28年2月と3月の研究実施内容と、平成28年度の研究計画について報告する。
本研究の目的は、中学校の英語検定教科書において繰り返し出現する「音韻語」の種類と頻度について明らかにし、頻度と定着度の関係について探ることである。平成26年度に行った音韻語データベースの分析から、中学校英語検定教科書18冊において18回以上出現する3音節の音韻語は27種類あることが明らかになった。そこで平成28年度は、1)学習者はよく耳にする音の連鎖をそうでない音の連鎖より正確に聞き取ることができるのか、また、2)音節連鎖頻度と聞き取りに関係があるのであれば、天井効果が見られるのはどの頻度からか、という二つの問題に取り組む。中学3年生と高校1年生を対象に英語の聞き取りテストを行うため、平成28年2月と3月はテスト問題の作成を行った。問題文は頻度18以上の3音節連鎖27種類を含む26個の文であり、1文の平均単語数は8.35、平均音節数は10.5である。米国ニューヨーク州出身の英語母語話者に問題文26文を自然な発話速度で読み上げてもらい、録音した。問題文の間には書き取り時間として30秒間のポーズを挿入した。ディクテーションの採点は通常単語ごとに行うが、本研究では実験文を3音節連鎖に分け、連鎖ごとに聞き取れているか採点し、3音節とも聞き取れている場合のみ点を与える。実験文26文を3音節連鎖に分けた結果、採点対象となる3音節連鎖は226個であった。226個の3音節連鎖のうち、124個は教科書データベースにおける出現頻度が1である。最も頻度が高いのはja-pa-neseで頻度77であった。今後、聞き取り実験を行った後、聞き取りの正答率と3音節連鎖頻度の相関を分析する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年間の育児休暇を終え、平成28年2月に研究再開してから現時点に至っては、研究はおおむね順調に進展していると考える。現在本実験に向けたパイロット実験を行うところであり、このまま順調に本実験のデータ収集と分析を行うことが出来れば、8月の学会発表に間に合う予定である。学会発表終了後には、3年間の研究成果をまとめ、論文として学術雑誌に投稿する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、まず第一に研究代表者と研究分担者の勤務校にてパイロット実験を実施し、データ分析を行い、仮説どおりの結果が得られそうか検討する。実験計画において修正が必要なところは修正し、本実験に向けて準備を行う。6月以降に中学校と高校に勤務する教員の協力を得て本実験のデータ収集を行う。テストの採点は、英語教育専攻の大学院生に協力を募り、一斉に行う予定である。データの分析を経て、8月の全国英語教育学会にて結果を報告する。9月以降、本研究で得られた成果を論文としてまとめ、投稿する。
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Causes of Carryover |
平成27年2月から平成28年1月末までの1年間、研究代表者が産前産後・育児休暇を取得しており、研究を中断していたため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
第一に、本実験のデータ収集を行うため、協力してくれる中学高校の教員に謝礼を払う計画である。第二に、データ処理の補助として大学院生を雇用し、謝礼を支払う計画である。第三に、研究で得られた成果を全国英語教育学会で発表するため、東京までの交通費と宿泊費に使用する。第四に、研究で得られた成果を英語で論文にまとめるため、英文校正費として使用する。
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