2015 Fiscal Year Annual Research Report
マルチメディアを用いたシャドーイング教材開発のための基礎的研究
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25370623
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
古泉 隆 名古屋大学, 教養教育院, 助教 (60549541)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | シャドーイング / 口唇映像 / 字幕 / 視線計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、マルチメディアを用いたシャドーイング教材開発のための基礎的研究としてシャドーイングの効果の一つである流暢性の促進に字幕と口唇動作映像の提示が役立つかどうかを実験を通じて検証することを目的とする。 前年度までに、日本人大学生に参加してもらい、1)音声のみ提示、2)音声+口唇映像を提示、3)音声+口唇映像+字幕を提示する各グループにおいて英文のシャドーイング練習を行ってもらい、母語話者2名に練習前後での発音の評価を行ってもらった。評価値をもとに口唇映像提示による発音向上効果を検証したところ、その効果は見られなかった。 今年度は、前年度のデータをさらに精緻に分析することを試みた。前年度の評価方法は、母語話者による全体的・主観的な発音評価であったが、今年度は、口唇の動きが顕著となる特定の発音の評価に絞り、音声分析技術を用いた客観的な指標(フォルマント周波数)によって発音を評価することを試みた。シャドーイング中の単語「weekend」の「ee」の箇所の発音を評価したところ、音声のみを提示するグループよりも音声と口唇映像を提示するグループのほうで、フォルマント周波数が母語話者のものにより近づいた。これは、限定的ではあるが口唇映像提示による発音向上効果を示したものである。さらに、音声・口唇映像に加えて字幕を同時に提示した場合の効果を検証したが、音声のみを提示した場合と比較して変化に差は見られなかった。シャドーイング中の視線データの分析を行ったところ、口唇映像とともに字幕を提示すると、字幕に注意が向いてしまい重要な口唇の動きに注意が向けられない傾向があることがわかった。 一連の研究で、限定的ではあるが口唇映像が発音向上に役立つことが示されたが、一方で、口唇映像に十分注意が払われるように提示方法を考慮する必要があることがわかった。
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Research Products
(2 results)