2014 Fiscal Year Research-status Report
Corpora as a reference for intermediate L2 writers: An investigation into the effects and perceptions of learner concordancing in the L2 writing classroom
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25370626
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
QUINN Cynthia 神戸大学, 国際文化学研究科, 准教授 (00368474)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | コーパス / L2ライティング / 自己修正 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は日本語を母語とする中級英語学習者がコーパスを利用するという手法で,自ら英作文を修正しつつ,さらに的確な英文作成能力の向上が図れるか,その可能性を検証するものである。 平成26年度に教材が完成し,次の過程として,エッセーの自己修正が可能な水準までコーパスを効率よく活用することを目標とした「体系的に学ぶコーパス活用方法のトレーニングプログラム」を実施した。このトレーニングモジュールは複数の国際学会で発表され,また国際学術雑誌に論文が掲載された。また言語データの収集を目的とし,平成26年度前期科目「英語文章表現」履修登録者34名全員にエッセーを3編ずつ(計136編)提出してもらった。データ分析の準備段階では,誤り(エラー)のタグ付けシステムが開発された。これはエッセーの中で発見されたエラーパターンに基づき,エラーの分類化・細分化を図ったものである。その後,原文及び修正版の文章を全てテキスト編集ソフトウェアにデータとして入力した。136編のうち約5%のエラーのタグ付け作業を研究代表者自身が行なった。加えて,さらなるデータとして講義開講前後にアンケートを実施,各課題後には学生と面談を行なった。面談は全て音声記録し,さらに文字起し後,データ分析ソフトNVivoにインポートし,定性分析を行なう。これらのデータはコーパスを利用した学習者の知見を抽出し,自己修正に関わる判断基準についてさらに深い見識を得るための参考資料となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現時点では,データ分析に先立ってエッセーの言語データを取りまとめている。詳細な項目を保有するエラータグ付けシステムを開発し,136全てのエッセーの原文及び修正版をテキスト編集ソフトウェアに入力した。これらの136のうち,約5%はエラーのタグ付けが完成している。これらエラーコードシステムと呼ばれるものは,コーパスを使った自己修正方法に関わるフィードバックを学生に提供するものであるため,エラーコードへの対応がコーパスを利用する上で重要な要素となる。残り95%のタグ付けについては,当初予定していた研究助手への協力依頼を取りやめ,研究代表者自身が行なうこととした。主要な理由として,このタグ付けのプロセスは英語の解釈を必要とし予想以上に困難であったことと同時に,学生のコーパス参照程度及び自己修正に関わる判断基準について,研究代表者自身が記録していくことがタグ付けのプロセスにおいて不可欠であったからである。平成25年度に引き続き,平成26年度にも講義開講前後にアンケートを実施し,さらに学生との面談も行なった。今回の講義終了後のアンケートについては,前年度の回答結果を鑑みて,質問項目を34項目から51項目にまで追加補充した。学習者の知見に関わるデータは既に入力し分析されているので,これについては平成27年度の報告となる。ここまでのデータ収集は順調であり,概ね予定通り進行している。エッセーのエラータグ付け作業(データ分析用)については平成26年度の履修者が予想以上に多かった(平成25年度26名に対し,平成26年度は34名)ため,それに伴いエッセーの回収数が大幅に増え,予定より若干の遅れが生じている。また先述の通り,研究助手ではなく研究代表者自身によるエラータグ付け作業になるため,データ分析の段階でも無論,大幅な時間を要することとなる。従って,平成27年度も引き続きデータ分析の準備を行なう。
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Strategy for Future Research Activity |
この一年の成果としてコーパストレーニングのモジュール及び教員によるエッセーフィードバックを含めたカリキュラムが完成したことを受け,平成26年度のエッセーデータをデータ収集の第一順目と位置づけた。第二順目として本年度も同様のデータ収集を行なう。データの一貫性や豊富さといった点では,学習者トレーニングプログラム終了後のものがより勝っていた。また,全てのエラータイプがコーパス参照に適しているとは限らないことと,適切な語彙項目のコーパス参照結果について相当数を集めることが必要であるため,二度にわたるデータ収集を行なう。平成26年度は,三つの各課題提出後に面談を行なった。平成27年度では,二つ目と三つ目の課題提出後にのみ面談を行い,コーパスの活用及び修正判断についてより明確なデータを回収する計画である。加えて,アンケートによる情報を補強するため,講座終了後にも面談を行なう。
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Causes of Carryover |
平成27年度使用額については主に3つに分類した。(1)コーパス年間利用料:参加学生及び研究者対象用 (2)国際学会発表のための旅費 (3)研究助手雇用に関わる経費。コーパスが中級英語学習者の的確な英文作成能力に与える影響についての研究による指摘は極少数である理由から国内外両方で研究発表をする場が数多くある。従って,国際学会への出席及び発表のため,旅費に多く配当した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
(1)オンラインコーパス利用料:スケッチエンジン(Sketch Engine)- データ収集及び分析に使用;学生対象 500英ポンド (= 90,000 円);教員/研究者対象 52英ポンド (= 10,000 円);オンライン単語帳(WordBanks Online)- データ分析に使用;教員/研究者 695英ポンド (= 125,000 円)。小計 = 225,000 円。知見を活用する学習者の特徴に関わる研究結果について,本年度は以下の国際学会にて発信される。(2)旅費:大学英語教育学会 第54回(2015年度)国際大会 - 鹿児島大学= 70,000円;第14回 第2言語ライティングシンポジウム - オークランド工科大学= 200,000円;TESOL国際交流協会 地域会議 ;シンガポール国立教育研究所 = 150,000円。小計 = 420,000 円。(3)研究助手雇用経費:個人面談音声記録の文字起し及びデータ入力 55,000円。 合計 = 700,000円
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Research Products
(3 results)