2014 Fiscal Year Research-status Report
ダイナミック・アセスメントに基づく英語教育の指導・評価枠組みの開発
Project/Area Number |
25370627
|
Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
吉田 達弘 兵庫教育大学, 学校教育研究科(研究院), 教授 (10240293)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 裕之 関西大学, 外国語学部, 教授 (80247759)
松井 かおり 朝日大学, 経営学部, 准教授 (70421237)
テーラー マーク 兵庫県立大学, 公私立大学の部局等, 外国人講師 (40514443)
安川 佳子 神戸夙川学院大学, 観光学部, 准教授 (20636352)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 英語教育学 / 社会文化的理論 / ダイナミック・アセスメント / 授業研究 / 会話分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,ヴィゴツキーの発達研究及び社会文化的理論を基盤とするダイナミック・アセスメント(以下,DA)に基づき,英語教育実践における指導と評価を一体化した実践枠組みを開発し,その有効性の検証することである。 今年度は,二年目の研究として,①ダイナミック・アセスメント(以下,DA)を導入した授業実践の分析およびDAの効果検証,②研究の途中経過の報告を行うことをめざした。 ①についての研究実績:前年度に実施したDA実践で収集したデータの分析を行い,同時に,さらなるデータ収集を行った。社会文化的理論に基づいてDAに関する原理,方法を研究協力者の英語教師と共有し,DAを活用した英語授業を実践した。特に,生徒のコミュニケーション活動におけるパフォーマンス,教室での相互行為や談話などをデータとして収集し,記述,分析を進めた。分析の方法としては,会話分析を援用した。その結果,教師がDAを意識することで,教室内のやりとりを従来の教師主導から,教師と生徒が共同的に構成するやり方に変えること,また,生徒の英語でのパフォーマンスを援助することが可能であることが明らかになりつつある。そして,生徒にDAを享受することで,生徒同士の相互行為の質が変化するか,という新たな研究課題も出てきた。 ②についての研究実績:年度計画としては,8月に開催された全国英語教育学会やオーストラリアで開催されるAILA(国際応用言語学会議)でこれまでの研究の途中経過を発表する予定だった。しかし,年度当初に研究代表者である吉田達弘が,体調を崩したために,両学会の研究発表が実現できなかった。このことによって,やや研究の進捗状況に遅れが出ているが,データ収集,分析,論文執筆は順調に進んでいる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究の進捗状況が「やや遅れている」としたのは,年度計画にあった平成26年8月の全国英語教育学会およびAILA(国際応用言語学会議)での研究の途中経過を発表が実現しなかったためである。これは,研究代表者である吉田達弘が,4月に手術・入院し,その後,体調不良だったため,発表を取りやめたためであるが,本来のデータ収集,分析は順調に進んでおり,例えば,中学校で実践した日本人英語教師と外国語指導助手(Assistant Language Teaher, ALT)との間で行われたティームティーチングでデータの一部は,平成27年度中に出版予定の"Team Teaching and Team Learning in the Language Classroom: Collaboration for Innovation in ELT" (Routledgeから出版予定)のチャプターとして掲載されることが決定した。さらに,教師によるDAだけでなく,生徒にDAを教授することで,授業中のグループ活動における生徒同士の相互行為の変化も観察することができ,研究に新たな方向性が見えてきた。このデータの分析は,今年度(平成27年度)に,すすめていく予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる3年目は,2年目で収集したデータの分析を行い,論文としての公表を進めていく。具体的には,中学校英語授業におけるグループ活動内における生徒同士の相互行為の分析,新たなデータとして,大学生を対象とした1対1のDAおよびグループDAにおける相互行為の分析が中心となる。これらの研究の成果は,わが国では,先行事例が乏しいため,本研究が先駆け的な研究となると思われる。研究成果の公表については,投稿論文という形のみならず,研究集会を開催する形でおこなうことも検討中である。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は,研究代表者および研究分担者のうち,体調不良や校務の都合で予定していた国内外の学会への参加ができなかった者がでたためである。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額については,国内外の学会への参加旅費および研究集会を開催ための経費として使用する計画であり,これによって,研究成果の質がより高くなるように失効したい(なお,研究集会の開催については,現在検討中である)。
|
Research Products
(1 results)