2013 Fiscal Year Research-status Report
リメディアル教育を必要とする学習者を自律的学習者にするための教授法・教材開発
Project/Area Number |
25370649
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chiba University of Commerce |
Principal Investigator |
酒井 志延 千葉商科大学, 商経学部, 教授 (30289780)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 英語リメディアル / 自己有能感 / 文法の内在化 / グローバル / 教材の楽しさ / 学習環境の整備 / 学習者への動機づけ |
Research Abstract |
英語が苦手な学習者には,基礎文法を指導する教材が多い。しかし,そのような教材は,ある文法項目を指導している授業時間内には,ある程度,操作はできるようになるが,その規則を習得することはない。それは彼らが,模倣により表面的な操作は理解するが,規則や単語を内在化しないからである。彼らは中学校や高校でも同じように授業を受けて来て,内在化できていないのであるから,同じ方法では,中高より授業効率が悪い大学で内在化は無理である。 問題は意識にある。英語が得意な学習者は,「努力すればできるようになる」という努力意識帰属である。しかし,苦手な学習者は,「才能がないから勉強してもだめだ」という才能意識帰属にかわる。それに変わると,元に戻るのがかなり難しい。それで,英語が苦手な学習者には,まず,興味ある教材を与え,達成感を与え,彼らの意識を変え,「努力すればできるようになる」と自己有能感を高めることが重要である。牧野と平野の研究の教員意識調査分析も,リメディアル教育における教師の使命は学生の英語学習に対する意識改革と結論づけている。できない学習者に対する教育は,英語より,彼らの意欲や興味を掻き立てることが優先事項であることを裏付けしている。したがって,大学から始めてもグローバルで使えると思わせることは重要である。その意識を変えるために,考えていることは3つ:教材の楽しさ,学習環境の整備,学習者への動機づけである。 文法学習について補足する。英語を日常的に話さない環境にいる学習者にとって,文法学習は必須である。しかし,日本の学校での英文法学習は,ある課で目標の文法の規則についての学習は,理解と産出を目指している。それが問題であり,リメディアルの学生にはそれが負担になる。それで,読むために理解する文法と,使うことをめざし書くことで習得する文法は分けて指導する方式を採用する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに,現状の分析と教材作成の方向性を確認した。したがって,現実の教室で指導が可能な教材開発について,指導順序やトピックなどを検討している。今年度いっぱいで教材を開発し,次年度は,実施しながら,修正していく方向で考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究と教材開発の2本立てて進めていく。研究は,英語に苦手意識を持った学生に,もう一回英語学習に挑戦させようとする意欲を出させるアクティビーについての実証的研究をおこなう。牧野らにより,アクティビティーをうまく使うと,苦手意識を持つ学習者に,英語を学びたいという気にさせることが可能である。しかし,授業でアクテビティーになれていない教員が抵抗を示すことがある。それをいかに克服するかが課題である。 教材としては,今後学生が生きていくグローバル社会で通じる英語の習得を目指す。だから,コミュニケーションで通じることを優先する。全体の構成では,グローバルを意識させるために「外国でのサバイバル英会話」,「異文化理解」「日本文化発信」を想定している。 リメディアル教育で常に問題となる文法学習について補足する。日本の学校での英文法学習は,ある課で目標となると,文法の規則が理解と産出ができることを目指す。リメディアルの学生にはそれが負担になり,英語学習をやめてしまう事が観察されている。それで,読むために理解する文法と,使うことをめざし書くことで習得する文法は分けて指導することにした。だから,文法を使うライティングを簡単なものと難しいものの2種類用意する。学生は自分の力に合わせて選んで練習する。書くための文法は初歩だが,理解できる文法は少し難しくする。その文法は理解できれば,使えるようにならなくてもいいという考えである。したがって,既存のリメディアル教材のように,文法項目を網羅的な配置にはしない。
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Research Products
(8 results)