2014 Fiscal Year Research-status Report
自律及び協調学習を支援する英語ライティングシステムの開発研究
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25370653
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Research Institution | Tsuda College |
Principal Investigator |
久島 智津子 津田塾大学, 言語文化研究所, 研究員 (80623876)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
来住 伸子 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (50245990)
岸 康人 神奈川大学, 総合理学研究所, 研究員 (50552999)
園田 勝英 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 教授 (70113694)
田近 裕子 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (80188268)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ライティング / 協調学習 / 自律学習 / eラーニング / consciousness raising / model / ピアレスポンス |
Outline of Annual Research Achievements |
平成25年度に実装した「自律及び協調学習を支援する英語ライティングシステム」のパイロットスタディの結果を踏まえて改訂し,複数の授業で運用した。運用後は,学習者を対象に学習面,システム面についての質問調査,及び学習者のライティングの分析を行った。以下に具体的に記述する。 1.英語ライティングシステムの実装: 平成25年度に実装した英語ライティングシステム(Coconut)のプラットフォーム(左部にピアのライティングの一覧表示,右部にライティング入力フィールド,オンライン辞書へのリンク)に,ヒント例文の表示,Botによるモデルライティングの自動表示,ピアレスポンス用のアイコンボタンの機能を付加した。例文は,BNC (The British National Corpus)やCOCA(The Corpus of Contemporary American English)から課題のテーマに添うものを抽出した。 2.英語のライティングクラスでの利用: 平成26年度前期・後期に国立大学1年生のライティングコース(計2クラス)にて2,3回,同年度後期に国立大学2年生以上のライティングコースにて毎回(計14回),Coconutを運用した。授業展開は,学習者はテキストを利用して言語活動を行った後に,Coconutにライティングを投稿し,投稿後にピアレスポンスを行う活動とした。 3.Coconutの効果検証: Coconutの効果検証として,システムの各要素(ピア及びBotのライティング,BNC・COCA及びリンク先のオンライン辞書の例文)について利用程度とシステムのユーザビリティ等に関する質問調査を行った。現在は,質問調査の結果分析,学習者の各ライティングについてワード数,4-gram等を基にして比較分析を行っている。現在のところ,Botが示すモデルライティングの効用が認められている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の実行計画の要点は,BNC・COCAの表現を自動提示するBotシステムの設計と実装であり,実際,Botの設計と実装を終えて,Bot機能を備えた英文ライティングシステム(Coconut)を予定通りクラスで運用した。ただし,BotでBNC・COCAの英文を基にした英文を表示すると,課題のライティング内容とずれが生じるケースが発生したため,適切な学習効果の観点から課題のモデルライティングを表示するように変更した。 Coconutのシステム面の効果検証では,運用前に学習者のライティング力を語彙表現のテスト,取り組み時間等を基に測定する予定であったが,実際のライティングの活動状況が使用教室のネット・コンピュータ設備環境や学習者の他の学習履歴に依存し,システムの効果そのものを把握・検証する根拠には不十分との懸念が浮上した。従って,現在のところは,学習者への質問調査の結果分析と学習者が投稿したライティングの分析を優先にして進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
Botによるモデルライティングの表示,ピアのライティングの一覧表示という機能を備えた英語ライティングシステムの運用は,自律及び協調学習を促進させると考えられる。さらに,学習者は自己のライティングの履歴や進捗を見ることで,継続的に学習を進められる傾向があることから,自律及び協調学習を加速していくには,学習者のライティングの履歴(ポートフォリオ)機能を付加する必要性を感じている。平成27年度は,ポートフォリオの機能を付加したシステムを運用し,その効果を検証していく。検証結果については,学会や論文で発表し,多くの方から意見を頂戴し,さらに研究を深めていきたい。
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Causes of Carryover |
本研究中の英語ライティングシステム(Coconut)の運用,及び運用後の学習面・システム面の分析から,学習者のライティングの履歴(ポートフォリオ)機能を付加する必要性が生じている。その機能を付加する研究開発費と,パイロットスタディやサーバー管理の謝礼金,並びに研究成果の学会発表,研究テーマの動向調査の旅費費用が発生する。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費:620千円(システム開発費,システムテスト費,消耗品等),旅費:420千円(学会発表,学会参加費),謝金等:192千円(パイロットスタディ協力謝礼,サーバー管理の謝礼),その他:45千円(資料費等) 計:1,277千円
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Remarks |
「自律及び協調学習を支援する英語ライティングシステム」のプラットフォーム。
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