2013 Fiscal Year Research-status Report
障害者言語情報保障のための二次元コード連結複合情報端末機器開発の研究
Project/Area Number |
25370661
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
馬場 景子 日本福祉大学, その他部局等, 非常勤講師 (80424943)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北山 長貴 山形県立米沢女子短期大学, 英語英文学科, 教授 (00214825)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 二次元ドットコード / ESP教育 / アクリル樹脂UV加工 / 聴覚障害者情報保障 / 視覚障害者情報保障 / さわる絵本点字付き / 手話教育 / アメリカ手話(ASL) |
Research Abstract |
本研究では、新ソルーションである二次元コードと読み取り機器が、障害をもつ人のコミュニケーションにとって有効であることを先行研究において明らかにしてきた。二次元コードは、簡便な二次元コードシール印刷から大量な需要が可能である場合は、直接紙面全面に二次元コードを印刷することが可能である。紙面全面印刷の場合、情報格納スペースの面積が大きく、見た目ではコードの存在を意識しなくてもよく、使用者の使用目的が音声言語学習を主眼とした場合は、有効なソルーションである。しかし、需要と供給のバランス面を考慮した場合、コストパフォ―マンスが良くないことが、挙げられる。 二次元コード読み取り機器に関しては、仕様を変えることにより即座にランダムな音声出力及び映像出力が可能である。音声出力に関しては、ペン状の読み取り機器の形状を指先サック型に改良することで、視覚障害者の触覚に違和感を感じないようにすることも可能である。指先サック型の読み取り機器は、視覚障害を持つ人のみならず、筋力が衰えていく障害をもつ人にとっても有効である。映像出力に関しては、タブレット端末へ情報を無線で送信することを昨年度実現した。この際に使用した映像は、『学校生活の手話』(ろう教育の明日を考える連絡協議会編)であり、手話の単語レベルの二次元コード化を行った。単語レベルから、センテンス・パラグラフレベルへの動画再生に関しては、今年度の課題となる。 さらに強調を要する必要からASLの特徴であるトピカライゼーションを学習者に意識させるために、二次元コード再生と骨伝導機器を使用して、学習者に振動を送るという複数の情報機器の複合によって障害者を対象とした情報保障の確立を目指す。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の本研究の達成度が当初の計画以上に進展している理由は以下の2点である。第1に、聴覚障害をもつ人と手話学習者のために、『学校生活の手話』(ろう教育の明日を考える連絡協議会編)に掲載されている約800の手話をコード化し、無線で格納情報をパソコンのディスプレイに反映させることを可能にした。この開発は我が国最初のコンテンツである。DVDなどの機器は、再生に時間を要するため、ランダムな再生も時間がかかる。手話学習の映像モデルが正面からの場合は、学習者と映像が対峙した状況にあるため、理解するためには、数度の再生を必要とする。二次元コードの場合は、再生が簡便であるため、再生時間を要するという点をクリアーできた。 第2に、アクリル樹脂UV硬化の技術を使用して、視覚に障害を持つ人のために、指で触り、絵を理解でき、立体モデルを触り、実物の形を周知される可能性を実現することができた。さらに触って音声を確認できることを、二次元ドットコードの利点を活用しておこなった。昨年度、視覚障害の情報保障に関して、視覚障害施設への数度の視察と調査を行った結果、指による触覚の記憶は、視覚による記憶とは異なることが判明した。特に、アクリル樹脂UV硬化の技術を絵本に使用し、一般書として健常者へも、「さわる絵本点字付き」の存在を周知してもらうことは、イコールアクセスの社会を構築するためにも、有意義なことである。本研究では、昨年度の視察と調査から、「さわる絵本点字付き」に音声と映像を二次元コード化していくことを26年度の研究目標の上方研究課題とすることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は聴覚障害者を対象にした二次元コードの適応について、ろう教育の明日を考える連絡協議会編『学校生活の手話』制作に重点を置いた。今後の研究方策としてセンテンス、パラグラフを視野にいれた手話コンテンツの二次元コード化を推進していく予定である。そのためには、「さわる絵本点字付き」への手話映像と音声に二次元コードを付け再生することが26年度の研究を推進させる柱である。 また、ASLへの二次元コード適応は、ASLの特徴であるトピカライゼーションを学習者に意識させるため骨伝導機器の仕様を変換する。骨伝導の振動を骨ではなく筋肉に伝えることで、ASL学習者は、英語のコードとASLのコードの違いを意識し、手話を言語として捉えることを可能にできる。さらに、英語学習への動機付けとして活用の範囲を拡大することが可能であると考えている。 視覚障害者の情報保障へ貢献的な研究開発として、二次元資料へUV硬化アクリル樹脂を使用し、触覚で二次元コードのシールを認知できることを可能にする。さらに3Dプリンターを使用することで、二次元紙資料の立体化を実現し、実体の形態の認知を可能にする。使用するコンテンツは、「さわる絵本点字付き」で一般書として購入可能である絵本に、音声・映像を付加させる。完成後は、第一段階として愛知県内の非営利団体の協力を得て、多くの子どもたちを対象に実証を行う予定である。 この試みは、聴覚・視覚障害を持つ人と健常者のイコールアクセスを可能にする第一段階であり、障害を持つ人のグローバル化の実現を視野にいれる研究推進となり得ると考えている。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ほぼ計画通り研究費を執行した結果、未使用額が生じた。 平成26年度の研究計画に変更はなく、前年度の未使用額も含め、当初予定通りの計画を進めていく。
|
Research Products
(3 results)