2013 Fiscal Year Research-status Report
文学作品を用いた英語教育が学習者に齎す効果の実証的研究
Project/Area Number |
25370675
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
吉村 征洋 摂南大学, 外国語学部, 講師 (90524471)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桐村 亮 立命館大学, 経済学部, 准教授 (40584090)
廣森 友人 明治大学, 国際日本学部, 准教授 (30448378)
仁科 恭徳 明治学院大学, 教養部, 講師 (00572778)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 文学作品 / 英語教育 / 動機づけ / コーパス / Graded Readers |
Research Abstract |
本研究の目的は、文学作品をコーパス分析して英語教育に利用し、学習者が質的・量的にバランスの取れたインプットをすることで、学習者の言語習得面や情意面に与える効果を検証することにある。初年度である平成25年度は、文学作品を用いた英語教育を効果的に行うために、具体的な授業実践方法に関する研究を進めた。 学習者が英語読解力を向上させるには、学習者の英語力に合ったレベルの英文を大量にインプットする必要がある。そこで多読用教材として広範に使用されているのが、Graded Readers(以下、GRs)である。GRsには、文学作品を題材にした作品が数多くあるが、英語読解力があまりない学習者でも無理なく読解できるように、平易な英語に書き直されている。そのため学習者は、平易な英語で文学作品のストーリーを読むことができるというメリットがある。一方で、文学作品の英語が平易な英語に書き直されることによって、オリジナルの文学作品が持つliterariness(比喩表現、ことば遊び、など)が損なわれているという欠点があることがわかった。 こうしたGRsの欠点を補うために考案した英語読解法が、Dual-Text Approach(以下、DTA)である。文学作品を題材にしたGRsを用いて大量に英文をインプットしてもらいつつ、授業でオリジナル作品からの抜粋部分を使って、GRsの該当部分と比較読みをする、という読解法である。この方法を用いることで、学習者は自分のレベルに合った英文を大量にインプットすることが可能になるのと同時にGRsでは省略されていたことば遊びや比喩表現に触れることで、文学作品が持つことばの奥深さを味わうことができる。また比較読みをすることで、GRsと文学作品の英語の文体の差異に気づく効果があると推測できる。ここまでの調査状況は、ICLC 2013において報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度は、大量の文学作品をコーパス化し、テキストデータからターゲットとする言語項目・文法項目を選定し、それをもとにシラバス・教材・テストの作成をして、授業実践に導入する準備をする予定であった。しかし、上記の研究実績の概要で述べたように、文学作品を用いた英語教育の授業実践方法に関する研究や文学作品のコーパス化、およびシラバスの作成は進展したが、当初予定していた教材開発やテスト開発はまだ完成していない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度には、研究代表者や研究分担者の勤務する大学を中心にして、作成したシラバス・教材・テストを使って、授業実践を行う。さらに学習者に対して、授業前後にアンケート調査やインタビュー調査を実施して、学習者の英語力や動機づけに与える効果などを多角的に検証する。具体的には、プレ-ポストでの変化を比較・検討する手法を用いることによって、授業実践による教育的効果を検証する。こうして得られた情報を統計的に考察することで、文学作品を英語教育に用いることが学習者に及ぼす効果を総合的に検証する。検証した結果は、中間報告として第86回日本英文学会にて、「Graded Readersと文学作品の比較読みが学習者に齎す効果に関する一考察」というタイトルで、またAILA (International Association of Applied Linguistics) 2014大会にて、An effective approach to use English literature in the EFL classroomというタイトルでポスター発表を行う予定である。
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Research Products
(3 results)