2013 Fiscal Year Research-status Report
人工内耳利用者の英語音声分析と情報保障CALLシステムの検証
Project/Area Number |
25370677
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University of Arts and Sciences Junior College |
Principal Investigator |
鈴木 薫 名古屋学芸大学短期大学部, 現代総合学科, 准教授 (20221319)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 英語教育 / コンピュータ支援学習(CALL) / 音声分析 / 聾学校 / 聴覚障害 / 体感音響振動 / 国際情報交換 / ニュージーランド |
Research Abstract |
体感音響システムや骨伝導スピーカーをCALL と組み合わせた個別学習に関する調査機器として、iPad12台を導入し愛知県立豊橋聾学校で利用している。実験授業は、愛知県立豊橋聾学校の英語教諭が担当し、中学部と高等部の生徒を対象にして実施している。調査協力者である人工内耳を利用する生徒一人一人の聴力レベル・障害の病理的状況に関する調査の後、調査協力者の音声を録音し、音声分析ソフトPraatを利用して解析し、これまでの研究で収集した補聴器利用者・手話利用者・健聴者のデータと比較研究を進めている。iPadで使用する英語学習用アプリに関する研究も進めている。 英語圏の聴覚障害者を対象とした実験調査のため、ニュージーランド北島のオークランド市内にあるKelston Deaf Education Centreを訪問した。調査協力者から音声データを収集するとともに、それに関連する手話表現のデータも収集することができた。平成26年度9月に実験授業を実施することが決定し、そのための準備と打合せを行った。移民の増加に伴い、調査協力者たちの日常語には、英語やニュージーランド手話以外の言語も複数含まれていることが判明したため、日常語が複数言語である健聴者からのデータ収集の必要性を見出すことができた。 海外における聴覚障害者教育機関の実態調査については、イギリスの現地協力者との打合せを行い、平成27年度に実施する計画に変更することとなった。カンボジアの聾学校と連絡を取り、訪問について承諾を得た。 将来的に実施する医学的調査について、脳研究の専門家からの聴き取り調査を実施し、脳波測定や実験デザインについて助言を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
教育現場の実験調査は、ほぼ予定通りに進んでいる。国内とニュージーランドでの調査を同時進行で準備を進め、平成26年度に実験授業を実施できる状態になっている。調査を同時進行していることで、聾学校間の交流活動を促す教育プログラムも企画することができた。 医学的分析に関する新たな解析法について、専門家から聴き取り調査を行い、実験調査の内容を具体化させることができた。 教育現場の実態調査は、平成26年度と平成27年度も予定通り実施することになっている。訪問予定のイギリスの現地調査協力者との連絡調整を平成25年度中に行い、残りの研究期間に実施できる。さらに新たな訪問先としてカンボジアの聾学校とも連絡を取ることができ、調査対象を拡大させる方向に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度も継続的に音声に関わるデータを収集し、音調核認識と発話の分析を行う。 これまでと同様に聴覚障害の程度による影響に着目し、障害の状況に即した教育システムを構築し、その効果について検証する。聴力に関する医学的な見方と言語教育に携わる現場教員の捉え方におけるギャップが、これまでの調査で明らかになっているので、この部分にメスを入れる研究を今後展開したいと考えている。 教育現場の実態調査については、質問紙による調査を実施し、これまでに調査している日本や韓国の聾学校のデータと比較することで、相違について明らかにしていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度研究費利用の最終にあたる2月に実施したニュージーランドでの調査に十分な予算を充てるため、少しゆとり含めていたので、若干の金額が余剰となった。 平成26年度9月に再度、ニュージーランドでの調査を実施する計画であるが、平成25年度よりも調査期間を長く設定しているため、今回の余剰金額を含めて使用する予定である。
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