2015 Fiscal Year Research-status Report
教授データベースを利用した自立的英語多読学習支援システムの開発
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25370683
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Research Institution | National Institute of Technology, Toyota College |
Principal Investigator |
吉岡 貴芳 豊田工業高等専門学校, 電気・電子システム工学科, 教授 (30270268)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 多読 / 英語 / ICT / 教授データベース |
Outline of Annual Research Achievements |
Webベース英語多読学習支援システムの再構築のため,外部業者との打ち合わせを毎月行い,要求仕様化を行った。3月には,ソフトピアジャパンによる官民協働プロジェクトに,外部業者,報告者および研究協力者,および岐阜県多治見市図書館とで協同で申請をした。また,教員が持つ指導履歴を元に,英文多読初学者向けの典型的な図書推薦手順をパターン化することができた。 また,前述のシステムに実装する予定の,学習者のレベルや嗜好にあい,意外性のある教材(図書)を自動推薦するアルゴリズムを開発するためにGoggleの技術者が開発したword2vecを図書の書評に適用した結果,自動推薦のベースとなる図書の書評から抽出した単語を用いて,ジャンルに関連する図書を検索することができた。しかし,意外性を持つ推薦の必要性からアルゴリズムを調整し,結果を検証する必要を指摘した。 さらに,アイマークレコーダを用いて,多読学習1年目と2年目とで多読時の眼球運動の停留特性の経年変化を分析したところ,ある協力者では学習2年目には内容を理解するための意識的な停留の頻度が減少し,サッカードによる無意識の停留頻度が多くなる傾向がみられた。しかし,読解問題の正解率が50%にとどまったため,読み滑りの状況であった可能性が示唆された。今後は,眼球の停留時間のみから読み滑りを判定する計算式の有効性検証を引き続き行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度に続き,英文読書中に内容をわかったつもりで読み飛ばしをしている「読み滑り」の状況を判定する方法を探るために,アイマークレコーダを用いて,多読学習1年目と2年目とで多読時の眼球運動の停留特性の経年変化を分析した。ある学習者は,学習2年目には内容を理解するための意識的な停留の頻度が減少し,サッカードによる無意識の停留頻度が多くなる傾向があったものの,読解問題の正解率は50%にとどまったことから,読み滑りの状況であった可能性が示唆された。しかし,アイマークレコーダにより読書時の眼球の停留時間から読み滑りを評価する方法を探るために,読み滑りを判定する計算式の有効性検証はまだ出来ていない。 一方で,昨年度報告した書評から得たジャンル別単語データベースを用いた検索では検索結果が画一的になってしまう問題があり,学習の動機付けに十分でなかった。そこで今年度は,学習者のレベルや嗜好にあい,意外性のある教材(図書)を自動推薦するアルゴリズムを開発するためにword2vecを図書の書評に適用した。パラメータであるwindow sizeを変化させ,類似語の検索をした結果,これを大きくすることでジャンルと関連度の高い本が得られ、小さくするとより広いジャンルの本が推薦できることが示唆された。 さらに,Webベース英語多読学習支援システムの再構築のため,外部業者との打ち合わせを行い,要求仕様化を行い,ソフトピアジャパンによる官民協働プロジェクトに,外部業者,報告者および研究協力者,および岐阜県多治見市図書館とで協同で申請をした。また,昨年度収集した学習状況の分析がまだ実施できていないが,教員が持つ指導履歴を元に,英文多読初学者向けの典型的な図書推薦手順をパターン化することができた。しかし,外部業者との打ち合わせの際には,このパターンをシステムに載せるフォーマットにするまでには至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の目的であったアイマークレコーダにより読書時の眼球の停留時間より,読み滑りを評価する方法を探るために,母語である日本語資料を読んだ際の眼球運動を測定する方法を組み合わせる評価方法を検討したが,評価点算出の適用はまだ出来ていない。また,高額なアイマークレコーダの不安定になってしまったことにより,来年度は安価なセンサーとタブレットPCを用いた計測ソフトウェアを開発することとした。アイマークレコーダの測定結果との比較により,新しく開発した測定装置の有効性を検証していく。また,今年度に引き続き,次年度も読みの経年変化を分析することを目的とし,同一の学習者達が多読学習の1年目,2年目,3年目とで英文多読中の眼球の停留がどのように変化する実験を行う。 word2vecによる図書推薦においてより広いジャンルの本が推薦されれば,システムの利用者にとって意外性を提供することが推測されるため,window sizeを変化と意外性について検証を行う予定である。 さらに,収集した教授モデルや学習状況の分析結果をもとに,教授モデルをデータベースとしてシステムに載せるフォーマットを平成28年度中までに完成させるために,最終年度中旬を目処にPC版の英文多読学習支援システム(図書蔵書検索機能および読書記録機能)を外部業者とともに構築し,協力いただける地域図書館および社会人の方々とともにシステムの検証を行う。さらに,年度末を目標に全国の地域図書館向けにシステム利用に向けたPRと運用を外部業者とともに行っていく。
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Causes of Carryover |
PC版の英文多読学習支援システムの再構築のため費用が必要となる。また,研究成果を日本多読学会,Japan Association for Language Teaching (JALT),および日本工学教育協会JSEEなどでの報告のための旅費や参加費,および同様の教育研究を行う国内外の大学等との間での情報収集のために旅費が必要である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
使用計画は,次年度使用額が生じた理由に記載したとおりである。 なお,研究成果の報告は平成28年度の国内学会,および平成29年度の国際会議にて発表する予定である。
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Research Products
(6 results)