2014 Fiscal Year Research-status Report
音読・要約を核にしたシステム英語指導法の提案―「名人教師」の分析をもとにして―
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25370685
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Research Institution | Tsuyama National College of Technology |
Principal Investigator |
安木 真一 津山工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (70637991)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 音読 / 要約 / 名人教師 / スピーキング |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は主に以下の研究を実施した。 まず昨年度名人教師3名へのインタビューを実施し、それについて英語授業研究学会で発表したが、更に分析を深めた。指導技術で注目すべきなのはいずれの教師もリーディングを核にしながらもその他の技術、特にスピーキングの大切さを主張していることであった。教材に関しては、教師A、教師Bが教科書や既存の教材の中心であるのに対して、教師Cはテーマ学習の中で自作プリントを活用している。しかし教師A、教師Bも教科書や入試問題をベースに、教材を広げる活動を様々なステージで行いテーマを重視している。発想で特徴的なのは、「受験指導」や「コミュニケーション能力」といった小さな範疇だけでは英語教育を捉えておらず、更に大きな人間教育や言語教育の中で英語教育を捉えていることである。また「英語の授業を英語で教える」ことに関して、いくつかの観点から慎重な態度をとっていることもSELHiですべて英語による授業を実施し、高い評価を得た教員の意見であるので特筆に値する。生徒の成長を確かな方向へ導くしっかりした人間観、社会観、言語観が根底にあり、技術論はその先にあると感じられた。これらの点を深めるために3名の内1名の授業観察と面接調査を再度実施し更なる分析を実施中である。 これらの分析を元に高等専門学校の授業においてスピーキングをペア活動やグループ活動の中で実施することで動機付けする方法を吟味した。この結果特に有効であった指導法は「ネイティブぴったし音読」「インテイクリーディング」「列毎発表音読」「輪読」であった。また事前テストと事後テストにおいて「理解を伴ったリーディングスピード」は有意に向上した。これに関しては全国高等専門学校英語教育学会において「高専英語授業におけるスピーキング指導の工夫;高校名人教師の分析をもとにして」のタイトルで発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の目標はコミュニケーション能力と受験に対応する力を両方とも育成している高校教師の教授方略、授業観・学習観を検証し、コミュニケーション能力を育成しながら、受験指導にも対応できる指導法を提案することである。このような教師を「名人教師」と名付けた。名人の指導法の中で音読指導に加えてすでに抽出された要約指導法についてインタビューを行うことで更に分析し、先行研究や同時に行う実証研究と比較し有効性を実証することを目指している。これらを基に中学、高校、高専、短大、大学の現場で使用きる4技能統合型の指導法を提案する。更に名人の動機付け方略についても考察を行う。 上記の目的に関して名人教師の指導法を分析し先行研究との比較、分析を実施した。また自らの実践の中で分析に基づく指導を行い更に分析を加えている。
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Strategy for Future Research Activity |
高等専門学校における自分の授業の分析に関して、佐野(2000)にあるアクションリサーチ等の方法をとり、音読指導から要旨作成に至る道筋を授業中に実施する中で出てくる指導法の問題点をみつけ、改善することを目指す。特に以下の4点を中心にスピーキングの指導法の改善を目指す。 1 あらゆる場面で音読するが方法を更に吟味する。 2 数値目標を定め速度を要求する活動を用いる。 3 緩やかなゴールを目指す活動を実施し評価する。 4 さまざまな活動を用い、ある活動がうまくいかない場合は別の活動を行う。 また継続して名人へのインタビューや授業観察を実施し、問題点に対する解決策等について探求する。市販されている授業名人の授業DVD等も更に観察し問題点の解決を図る。開発された指導法は学会発表、ワークショップ、論文または著書により現場の教員への一助となるようにしていく。
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Causes of Carryover |
人件費、謝金分に関して予定していた費用がかからなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌年度は海外の学会への参加を予定しているため、旅費の一部にあてる予定である。
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Research Products
(3 results)