2015 Fiscal Year Annual Research Report
英語関係節・補文節の認知類型論的応用研究:日本人大学生の作文データの分析を通じて
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25370689
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
守屋 哲治 金沢大学, 学校教育系, 教授 (40220090)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀江 薫 名古屋大学, 国際言語文化研究科, 教授 (70181526)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 第二言語習得 / 複文構造 / 関係詞節 / 同格節 / 主節 / 従属節 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は、過去2年間の研究成果を踏まえ、日本語母語話者と、韓国語母語話者、中国語母語話者の英語名詞修飾節構造に関する誤用の対照分析を行った。その結果、名詞修飾節に関する制約が一番緩やかな日本語を母語とする英語学習者が最も名詞修飾節に関する誤用が多く、日本語と類似した性質を持つ韓国語や中国語の母語話者の場合でも、その制約がある程度かかっているために、日本語母語話者ほどにはL1の性質を転移して用いないということが明らかとなった。 また、研究分担者は日本語の複文構造の言語類型論的性質が名詞修飾節構造にどのように反映しているかという点から研究を行い、形式的な表示を持たない分、語用論的な解釈が理解に重要な役割を果たしていることを明らかにした。 本研究では、複文構造の認知枠の違いがどのように英語の補文構造や関係詞節構造の習得に影響を与えるかを明らかにすることを目的として来た。日本語では、形式的にも機能的にも名詞修飾節の中で補文構造と関係詞節構造を区別しておらず、いわば、日本語母語話者の認知枠においては両者はいわば音素論でいうところの異音の関係にあったと言える。その結果、関係代名詞節と関係副詞節の区別や関係詞節と同格節の区別が困難であり、特に後者に関しては、同じような機能的類似を持つ韓国語や中国語母語話者と比べてもその傾向が顕著であるということが明らかとなった。 母語の転移による言語学習の影響が、母語がどのような認知枠を与えるかによってその学習の困難度に影響を与えるかが異なることを示すことができたと言える。
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Research Products
(4 results)