2014 Fiscal Year Research-status Report
方略的介入は動機づけや学習観になぜ影響するのか:第二言語読解の成功感と自律から
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25370693
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Research Institution | Hokkai-Gakuen University |
Principal Investigator |
松本 広幸 北海学園大学, 経済学部, 教授 (00549404)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣森 友人 明治大学, 国際日本学部, 准教授 (30448378)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 方略的介入 / 読解方略 / 読解動機づけ / 学習観 / 因果プロセス / 要旨理解 / 意識変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度においては,前年度の予備調査と同じ方略的介入(要旨理解を中心とする方略指導,テキスト解読偏重の是正を目指す指導)を英文読解授業の中で本調査として実施した。具体的には,開発済み質問紙(読解方略,読解動機づけ,学習動機づけ,学習観の4尺度),ならびに質問紙と対応した自由記述回答用紙を用いてデータ収集を行い,対象学生の読解行動や意識の変化について分析した。すなわち,本調査においては,予備調査で得られた暫定的結論(外国語としての英文読解では,動機づけから方略使用や学習観への影響よりも,むしろ方略使用から動機づけや学習観への影響の方が大きい傾向)に対して,量的データと質的データの相補的分析(トライアンギュレーション)を行い,妥当性について検討した。結果として,これらの因果プロセスに関して明確な方向性は認められなかったが,概ね予備調査と同様の結論を得た。主に自由記述回答の分析では,(1) 読解練習,(2) 要旨理解,(3) 読解行動(方略)の定着,(4) 読解意欲の向上,(5) 学習者意識の変化,(6) 語彙学習に関する6要因が抽出された(SPSS Text Analytics for Surveys援用)。これらの要因間の因果プロセス的特徴の概要として,(a) 要旨理解を中心とする方略の定着による読解意欲の向上,(b) 要旨理解の成功を通した学習者意識の肯定的変化が挙げられる。教育的には,要旨理解を中心とする方略から動機づけおよび学習観への因果関係が認められたことから,英文読解授業における方略的介入の意義や効果について肯定的な示唆を与えるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は,英文読解授業で方略的介入から動機づけの向上や学習観の変化へと至る因果プロセスについて,量的および質的アプローチにより考察することである。予備調査と本調査でこの目的に対する同様の結論が得られたことから,このような達成度評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
ここまで研究は順調に進んできていると思われるが,本研究の成果の妥当性については引き続き検証する必要がある。すなわち,本研究における方略使用,動機づけ,学習観に関わる因果プロセスを一般化するためには,多様な第二言語読解を対象とする多角的な分析による理解が不可欠である。
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Research Products
(3 results)