2013 Fiscal Year Research-status Report
第二言語習得における筆記ランゲージングの効果とプロセスの解明
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25370696
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Josai University |
Principal Investigator |
石川 正子 城西大学, 語学教育センター, 准教授 (10552961)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 渉 宮城教育大学, 教育学部, 准教授 (60549640)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ランゲージング / アウトプット / 第二言語習得 / 外国語教育 |
Research Abstract |
初年度の25年度は、文献講読会、海外協力者招聘、国内外の学会出張を通して、今後の研究の土台となるランゲージングについての情報を収集し理解を深めた。また、これらの活動を通して得た知見をもとに筆記ランゲージングの効果実験を行った。 「ランゲージング」とは学習者が疑問に感じたことや考えたことを自分自身や他者に説明する中で思考や理解を深めていく学習プロセスであるが、これまで行われてきた研究のほとんどが口頭ランゲージングを対象にしたものである。そこで、年間を通しての文献講読会ではこのような文献を中心にランゲージング自体の学習効果について改めて考察するとともに、口頭ランゲージングの研究をこれまで多数行い重要な研究成果を世界に発信しランゲージング研究第一人者であるメルボルン大学ストーチ教授を招聘し、実験計画を中心とする研究全般への助言を仰いだ。このような背景の中、これまでのところほとんど検証されていない筆記ランゲージングの英語学習への効果を明らかにすべく3期には予備実験を、ここでの結果を踏まえて4期には本実験を行い、筆記ランゲージングの学習効果について更に考察を加えた。(この実験結果は今年度夏の全国英語教育学会徳島大会にて発表予定。また論文にまとめ、秋には全国英語教育学会学会誌に投稿予定。)3月には米国The American Association for Applied Linguistics (AAAL)のポートランド大会に出席し、外国語教育全般においての最新研究について学ぶとともに、当該研究課題についても情報を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度のランゲージングについての基本理解を深め、今後3年間の研究の土台となる筆記ランゲージングの英語学習への効果を調べるという目標がほぼ達成できたことが理由である。全体の参加者を筆記ランゲージング群・他のアウトプットタスク群(一般的に中学や高校の英語授業で取り入れられている文法問題)・コントロール群に分けて行った実験では、他のアウトプットタスクと比べて筆記ランゲージングがより有効であるという統計上の有意差は確認できなかったが、コントロール群と比較すると明らかな学習効果が見受けられた。このことから、筆記ランゲージングにはある程度の学習効果が期待できると結論付けるにいたった。また今回の結果は、文法問題を解くといったような活動と比べて筆記ランゲージングという活動が実験参加者にとって馴染みのない新しい活動であったことも影響していると思われるので、今後はそのような影響を考慮した実験デザインを取り入れることを目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
筆記ランゲージングの学習効果についてある程度の結果を得ることができたが、学習効果の有無は本研究課題の根幹をなす最重要項目であるため、本年度1期から2期にかけて再度効果実験を行う予定である。(同一実験ではなく、前回の実験の反省を取り入れた改良版を実施する予定。)その上で、筆記ランゲージングをより効果的に教育の現場で使用するにはどのような要素との組み合わせが望ましいのかを探るべく、今年度後半から最終年度である来年度にかけて学習者内要因(英語習熟度と適性)や学習者外要因(難易度の異なる文法項目や様々なタスク)に焦点をあて実験を行い、筆記ランゲージングが学習者の学習促進に貢献することを目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度末3月の米国ポートランドでの学会出張費用がまだ計算されていないため、次年度使用額が生じる結果となった。 上記学会出張費用は参加費・旅費・宿泊費などが含まれるが、帰国が3月末であったため今年度処理されることとなったもので実質的には使用されている。すでに関係書類や領収書などは提出済みであり現在処理が行われている。
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