2013 Fiscal Year Research-status Report
小学校英語教育における教員養成・研修推進のための言語教師認知研究
Project/Area Number |
25370699
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanda University of International Studies |
Principal Investigator |
田中 真紀子 神田外語大学, 外国語学部, 教授 (40236633)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本多 正敏 神田外語大学, 付置研究所, 研究員 (20554827)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 言語学 / 外国語教育 / 早期外国語教育 / 教師認知と指導者養成・研修 |
Research Abstract |
本研究の目的は、英語教育に関する知識・信条・意思決定等を包括して教師認知と捉えるBorg (2003)の枠組みに基づき、児童英語教員養成課程の学生、及び外国語活動担当教員が有する教師認知とその認知の形成に関わる要因・背景の関係を明らかにすることにより、教員養成・研修プログラムの開発・発展を推進する枠組みを提供することである。初年度は、①国内の小学校での実習後に、神田外語大学児童英語教員養成課程の学生が文字指導と文法指導に関してどのような教師認知を持っているかを考察する研究、そして、②海外の小学校で実習に参加した学生を対象として教師認知を形成する上でポートフォリオが果たす役割を動機付けの視点から考察する研究を行った。 ①の研究では、2012年度に千葉県内の小学校で英語活動学習サポーターとして教育実習を行った学生24名にアンケート調査を実施し、英語活動における文字指導と文法指導に関する学生の認知とその認知が形成される背景にある要因を調査した。その結果、学生は教育実習を通じて文字指導を積極的に取り入れることが望ましいと考えるようになったこと、そして、文法の基礎を教えるべきかという項目については学生の判断が分かれ、その背景には教育実習の経験だけでなく、学生自身の過去の学習経験が関与することが明らかになった。次に、②の研究では、2012年度にアメリカ合衆国カリフォルニア州の小学校での教育実習に参加した学生14名を対象として、ポートフォリオに含まれる実習日毎の自己評価やリフレクション等を質的・量的に分析し、実習生はポートフォリオの作成を通じて動機付けを生み出し、維持し、そして、実習後の学びに向けて肯定的に自身の実習の成果を振り返っていたことが分かった。 以上の研究成果を踏まえ、次年度は英語活動担当教員を対象として、英語指導力に関わる教師認知を考察する研究を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、児童英語教員養成課程の学生の教師認知の形成に焦点を当てて研究を行い、その成果を国内・国外の学会を通じて報告し、社会還元することができた。特に、当初の計画では予定していなかった海外での学会発表を行うことにより、動機付けを専門とする研究者から意見や助言を得ながら今後の研究方針を検討することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、初年度に行う予定だった外国語・英語活動担当教員を対象とするアンケート調査(7月下旬を予定)、及び、面接による質的調査を実施し、彼らが持つ教師認知を明らかにしながら、「教科としての英語」の指導者養成・研修プログラムの構築・発展に向けての示唆を探る。 また、初年度に実施した児童英語教員養成課程を対象とする教師認知研究については、国内・国外の早期英語教育の指導者養成・研修に貢献する研究としてその成果を社会還元することができるように配慮しながら、論文を執筆し、国内・国外の学術誌に投稿する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の計画では、児童英語教員養成課程の学生を対象とするアンケートのデータや海外実習に参加した学生が作成したポートフォリオのデータを保管し、分析するためのPCを購入する予定であった。しかし、収集したデータの量は、当初の予定よりも少なかったため、PCの購入は次年度に見送ることとした。加えて、データを整理するために必要なアルバイトを採用する必要性も生じなかったため、海外での学会発表に関わる出張旅費に充当することとした。 次年度は、初年度分のデータに加えて、新たに外国語・英語活動担当教員を対象とするアンケート調査を含む多くのデータを収集する予定であるため、データの累積が膨大になることが予測される。従って、前年度購入を見送っていたPCやデータを保管する媒体(USBメモリーやHDD)を購入する予定である。また、収集データを分析するための手法を検討するための図書を購入する予定である。以上の理由から、昨年度の残金分は、主に物品費に充当する。
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