2013 Fiscal Year Research-status Report
ダイナミックシステム理論を用いた動機づけの発達研究と第二言語学習・指導への示唆
Project/Area Number |
25370702
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
廣森 友人 明治大学, 国際日本学部, 准教授 (30448378)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 第二言語習得 / 個人差 / 動機づけ / 動機づけ方略 / ダイナミックシステム理論 / 変化点 |
Research Abstract |
本研究課題の目標は,第二言語学習の動機づけが変化・発達するシステムに関して,具体的な視点(モデル)を導き出すことである。そこでは動機づけの向上だけではなく,低下のプロセスも明らかにすることにより,動機づけの変化・発達をより全体的・立体的に捉えることを目指す。このような目標を達成するために,今年度(平成25年度)は異なる発達時期や異なる状況において,より典型的に見られる動機づけの状態を明らかにした上で,動機づけの向上・低下が生じる「変化点」(points of change)の特定を試みた。大学1年生82名を対象とした約半年間にわたる縦断調査の結果から,動機づけが異なる発達的変化を見せた3つのグループの存在が確認された。具体的には,一貫して高い動機づけを保っていた「高動機維持グループ」,調査開始当初の動機づけは中程度だったものの,徐々に動機づけの向上が見られた「動機上昇グループ」,そして調査開始当初は若干の動機づけ上昇が見られたものの,徐々に動機づけの低下が見られた「動機低下グループ」である。さらに,各グループにおいて,動機づけの顕著な変化点を特定するため,繰り返しのある分散分析を行った。その結果,合計10の顕著な変化が認められた(なお,ここでは「顕著な変化」の目安として,サンプルサイズに影響される統計的検定の結果ではなく,effect size(Cohen’s d)に着目した)。全体的な傾向として,調査参加者の多くは,英語を勉強しないと不安になる/後悔するといった緊張感やストレスが,英語を学ぶ動機づけのダイナミックな変化に影響を与えていたことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書にある「研究の目的」,ならびに「研究の計画」を踏まえ,当該年度の研究については順調に遂行できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度(平成26年度)は,これまでの先行研究や観察調査の結果から,動機づけに発達的変化を生じさせる要因(コントロール・パラメータ)の候補を抽出する。その後,動機づけを目的変数,パラメータ(群)を予測変数とした回帰分析を行い,動機づけの発達プロセスに強い影響を与えるコントロール・パラメータを特定する。また,そこでの結果の妥当性を検証するために,特徴的な学習者を抽出してインタビュー調査を行う。上記の調査結果を踏まえ,特定されたコントロール・パラメータに焦点化した動機づけの発達構造(どのようなプロセスを経て,あるいはどのような条件下で動機づけが向上・低下するのか)をモデル化する。
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Research Products
(6 results)