2015 Fiscal Year Annual Research Report
日本人英語学習者の形容詞コロケーションはなぜ不自然なのか
Project/Area Number |
25370704
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
内田 富男 明星大学, 人文学部, 准教授 (50513850)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 形容詞 / 基本コロケーション / 語彙習得 / 学習者コーパス / レパートリー / 結束性 / CEFR / 交差言語影響 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の課題は、外国語として英語を学ぶ日本人学習者が不自然なコロケーションを産出する原因を明らかにすることである。研究初年次と2年次前半は主に文献収集・文献研究を行った。すなわち次の3つを主題とする学術書、論文等を収集し、整理した。①形容詞、②コロケーション、③第2言語語彙習得における交差言語影響等である。欧州言語を母語とする英語学習者については①~③のいずれも先行研究が見られた。①は言語類型論の論考が顕著である。②は近年、コーパスを用いた研究が特に増えている。③は形態素や統語に比べ、語彙を主題とする研究は少ない。特に英語を学習する日本語母語話者に関する研究は極めて少ない。研究2年次以降は日本人中高生と大学生の学習者コーパスを用いて、形容詞を含む用例とコロケーションの計量分析、及びインフォーマント調査を行った。その結果は順次、学会や教員向け研究会等において発表した。なお、中高生と大学生共に特定の基本形容詞の過剰使用が顕著であるため、最終年度にはCEFR Aレベルに絞って語結合と語選択を分析し、逸脱の原因を追究した。その結果、日本人英語学習者は形容詞のレパートリーが極めて少なく、基本形容詞すら使いこなしができず、日本語の品詞、及び意味の知識を参照する代替ストラテジーを採らざるを得ないということが分かった。外国語学習者の場合、語彙結合を作る際の典型となる正しい語の連続体が蓄積されていないため、自然なコロケーションを生成できない。また、インフォーマント調査からは形容詞を使うか否かという品詞レベルを超えた文単位の表現にも課題があることが分かった。本研究から得られた教育的示唆は、①形容詞のレパートリーを増やすこと、②訳語に頼らない形容詞の語義理解、③形容詞毎の用法、④表現単位における品詞選択、⑤句単位の語の結束性を踏まえた指導、特に典型となる基本コロケーションの指導等の重要性である。
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