2014 Fiscal Year Research-status Report
日本語を母語とする成人英語学習者の主語習得における「捉え方」意識高揚と頻度の効果
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25370706
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Research Institution | Hiroshima Shudo University |
Principal Investigator |
戸出 朋子 広島修道大学, 人文学部, 教授 (00410259)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 捉え方 / 明示的指導 |
Outline of Annual Research Achievements |
話題卓越型言語である日本語を母語とする成人英語学習者の主語述語構造の習得困難性が指摘されている。認知言語学を紐解くと,この困難性は,話題卓越型言語と主語卓越型言語の事態の捉え方の相違が関係していると考えられる。本研究は「ナル型」把握が優勢な日本語の母語話者に英語的な「スル」型把握の仕方を明示的に指導することが有効ではないかと仮定し,研究参加に同意した大学生37名を対象に実験を行った。データは個別に収集した。参加者をランダムに「事例+捉え方指導群」「事例のみ群」に分けた。まず,指導前に,絵本のストーリーを見せ,その内容に関連した事柄で,参加者に日本語で意見を述べてもらった。その後,参考資料としての単語リストを提示し,日本語で述べた意見の内容を英語で述べてもらい,それを事前発話データとして録音した。1週間後に指導を行った。「事例+捉え方指導群」には,捉え方指導を行った後,その参加者が言いたかった内容を表す正しい英語を提示し練習させた。「事例のみ群」には,捉え方指導は与えず,その参加者が言いたかった内容を表す正しい英語のみの練習をさせた。2日後に,事後テストとして,事前に収集したのと同じ方法で発話データを収集した。事前発話データと事後発話データを主語+述語動詞の構造が正しく発話されているかという観点で採点を行い,そのスコアを2元配置(対応のある因子と対応のない因子)の分散分析で検定した。その結果,「事例+捉え方指導群」が「事例のみ群」より有意にスコアが伸びていることが明らかになった。このことから,「スル」型把握の仕方を明示的に指導することが日本語を母語とする成人英語学習者の英語主語・述語構造の習得に有効であることが示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り,捉え方意識高揚を加えた指導のスピーキングにおける主語・述語構造の学習効果を検証する実験を行い,研究発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度では「事例+捉え方指導群」「事例のみ群」を比較したが,これに「捉え方指導のみ群」を加えて三群を比較する必要がある。従って,参加者を引き続き募集して,捉え方指導のみをした場合の効果を検証する。さらに,参加者の発話データを質的分析して,主語・述語構造における誤りが,母語である日本語の捉え方とどう関わっているのかを分析する。
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Causes of Carryover |
データ収集にかかる被験者への謝礼金(単価5000円,17名)を見積もって請求していたが,被験者との日程調整により,次年度にデータ収集を行うことになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年4月から9月にかけて,順次,データ収集を行い,謝礼金を支払う。
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