2015 Fiscal Year Annual Research Report
タスク前計画時間が留学前・後学習者の会話構築パタンに与える影響
Project/Area Number |
25370707
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Research Institution | Nagoya Gakuin University |
Principal Investigator |
新多 了 名古屋学院大学, 外国語学部, 准教授 (00445933)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | タスク中心教授法 / 言語評価 / 会話分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究では、第二言語スピーキングタスクを行う前に一定の計画時間を与えることにより、学習者のスピーキング運用能力が、流暢さ、複雑さの点で有意な改善が見られることが報告されている。その一方、タスクに取り組んでいる間、学習者のスピーキング運用が時間の経過とともにどのように変化しているか、十分に研究されていない。したがって本研究では会話分析のアプローチを用いることで、学習者がお互いどのように協力しながら会話を構築していくのかについて調査を行った。 日本人英語学習者が留学前・留学後にディスカッション形式の英語スピーキングテストを計画時間有りと無しの2回行い、その際に会話構築プロセスにどのような変化が見られるかについて、ダイナミック記述法および会話分析を用いて検証した。 研究の参加に同意した32 名を二人一組で16 のペアに分け、留学前と留学後の2回スピーキングデータの採取を行った。タスクは2回実施し、1回目または2回目のタスクいずれかの前に3分間の計画時間を与えた。タスクはケンブリッジ英検のFCE から4つを準備し、その中から2つをランダムに使用した。 分析の結果、留学前後で会話パタンが変化することがわかった。具体的には、留学前の比較的スピーキング力が低い時には、計画時間を与えた場合に、十分に相手の発話を聞かずに自分の発話にばかり注力してしまう「並行的パタン」が頻繁に見られた。その一方、留学を終え比較的高いスピーキング力を獲得した後では、計画時間を与えた場合でも相手の発話を基にして建設的に自分の発話を構築する「協力的パタン」が見られるようになった。 本研究結果から、教室内のコミュニケーション活動を重視した授業だけでなく、英語習熟度を測定するスピーキングテストの運用においても、様々な知見を得ることができた。
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Research Products
(6 results)