2014 Fiscal Year Research-status Report
日本人英語学習者の英語発話理解処理における外国語訛りの影響
Project/Area Number |
25370709
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
橋本 健一 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (20581036)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大和 知史 神戸大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (80370005)
生馬 裕子 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (60549088)
平井 愛 関東学院大学, 人間環境学部, 講師 (10554339)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 外国語訛り / 文理解 / 理解性 / 明瞭性 / 反応時間 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本人英語学習者が、他の国の、英語を母語としない話者と英語でコミュニケーションをする時、第一言語に由来する「外国語訛り」がどの程度英語の文・文章理解に影響を与えるのかを明らかにしようとするものである。国際的な共通言語としても用いら れる英語の話者は、母語話者よりも第二言語・外国語話者の方が多いとされ、(日本人も含めて)非英語母語話者同士のコミュニケーションは、今後ますます増えていくと思われる。外国語訛りはそのような非母語話者同士のコミュニケーションを阻害する主要な要因であるが、その発話理解処理への影響は未だ明らかとなっていない。そこで、日本人英語学習者 にとって特に困難となる外国語訛りの特徴に迫り、外国語教育分野に示唆を提供することが、本研究プロジェクトの目的である。 平成26年度は、平成25年度中に実施したアンケート調査をさらに詳細に分析することと同時に、文理解処理という観点から更なる検討をすすめるためのオンライン実験の準備を整えた。アンケート調査において、日本人英語学習者が訛りを含む英語を聴く際に、東アジア言語(中国語・韓国語)を母語とする話者の英語は理解しやすいが、東南アジア言語(インドネシア語・ベトナム語)やアラビア語を母語とする話者の英語は理解しにくいというふうに、訛りの由来となる第一言語により理解度が異なっていたが、訛りの強さの評価については、話者の母語による一定のパターンは見いだせず、訛りの強さの主観的評価と主観的な理解しやすさの評価が必ずしも一致しないという結果をサポートする結果となった(Munro & Derwing, 1995)。またオンライン実験について、文の理解に要する時間を測定する反応時間計測実験のパイロットを実施して、文の理解度と理解に要する時間の両方が、訛りの由来となる母語の影響を受けているという結果が示されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
反応時間実験の刺激文作成、及び録音・英語母語話者による訛りの度合いのジャッジメント・音声編集も終了しており、実験のパイロットも行っている。本報告を書いている段階で本実験開始の直前であり、概ね順調な進捗具合と判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は本実験を実施して、反応時間・理解度など複数の視点から、外国語訛りの文理解に対する影響を考察する。また、様々な度合いの訛りを含む英語の理解度の比較のため、音声データベースの拡充を目指す。
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Causes of Carryover |
反応時間実験の実施が2015年度の実施となったため、参加者への謝金の支払い、及び成果報告に関わる費用等が未使用となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
反応時間実験はすでに取り組まれており、成果報告についてもいくつかの学会に発表申し込み済み、及びその準備中であり、今年度中に未使用分の多くを使用する予定である。
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