2014 Fiscal Year Research-status Report
小学校英語のための<数>と冠詞を体系的に関連づけた名詞の指導と教材開発
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25370710
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Research Institution | University of KinDAI Himeji |
Principal Investigator |
岸本 映子 近大姫路大学, 教育学部, 教授 (80645119)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩井 千春 大阪府立大学, 公私立大学の部局等, 教授 (90411389)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 小学校英語教育 / 英語の冠詞 / 英語の文法的<数> / 動画教材 / 日本語教育 / イメージ・スキーマ / 認知言語学 / 名詞の体系的知識 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は認知言語学の言語観をとりいれ、英語の冠詞と文法的<数>を概念的に関連づけた名詞の指導法を構築し、その動画教材の開発を目的とする。対象は入門期の学習者(小学生)とする。 1.26年度の研究の具体的内容 1)前年度の研究結果に基づいて動画教材を作成した。小学校の副教材より20語の名詞を選定し、それぞれを連続体→複数個体→単数個体→連続体のプロセスを含んだ名詞の動画を専門業者の知識提供を受け作成した。昨年度の10語の試作と合わせ合計30語を完成させた。また英語の音声を映像に吹き込んでミキシングした。 2)小学校2校(5, 6年)の協力を得て、動画教材による名詞の冠詞と<数>の授業を実施し、検証を行った。振り返りテストとアンケートにより、不定冠詞とゼロ冠詞の意味機能と単数・複数の学習内容を学習者がおおむね概念的に理解したと結論づけらた。 2. 研究の意義と重要性 1)本研究は日本語を母語とする学習者が、英語学習において学習困難点の一つとする冠詞と<数>に対して、解決の糸口に与えた。今後の授業に活かせる。2)認知言語学の視点は、現行の学校文法とは異なる言語観であるが、対立することなく、学校文法の理解を定着させる補完的な役割であることが判明した。3)日本語との比較を通じての指導は、学習者が日本語を客観的にみる機会を与えた。 3.発表: この成果は小学校英語教育学会で発表し(第14回全国大会)、学会誌に論文として掲載した(JES Jounal Vol. 15, pp125-140, March 2015)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1.実践授業 当初の全体計画では小学校での実践授業は27年度の予定であったが、26年度は昨年授業参観をしたクラスの児童がもちあがって在籍しているため、26年度で実践授業をする方がよいと結論づけられたための1年早く実践授業を実施した。2校の小学校で5,6年生のクラスに、2回授業を行った。 2.動画教材 実践授業の時点で動画教材は8割完成していたので、検証のための授業を1年前倒しすることができた。検証授業が終了して、その改善点を踏まえて教材に修正を加え、最終的nに30語すべての動画教材を作成できた。また英語の音声も映像に付け加えた。 3. 指導方法: 動画教材を活用してどのように授業を構築するのかについて、さらに研究を深める必要がある。実践授業ではとりあえずHi, friends!の中に組み入れて授業をしたが、もう少し普遍性をもたせた指導方法を提示する必要を感じた。 4.26年度の研究内容については小学校英語教育学会において中間発表をし、学会誌に論文を記載した。
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Strategy for Future Research Activity |
今回作成した動画教材は、学習者が単独で学習をしたり、指導者が映像を流しっぱなしで授業を実施できることを意図して作成されたものではない。それゆえ、教員による適切な授業展開の中での指導が必須である。この授業展開のための指導方法を具体的に一般化して提示する必要がある。今後はその指導方法とともに、動画教材を示すことにより、誰にでも簡単に行える授業への枠組み作りをする。27年度はここまでの枠組みを構築する予定である。 さらに27年度以降は小学校で学ぶべき基礎単語を選定し、100語程度の単語(名詞)の動画教材と、英語の名詞を抽象、物質、複数個体、単数個体に分類できる動画(ゲーム形式)を作成し、そのDVDと指導案を全国の小学校に配布できるよう研究を続ける予定である。言語の中で名詞の使用頻度は英語でも日本語でも圧倒的に高い。この高頻度の名詞を英語で正確に概念化して、冠詞と<数>と結びつけて体系化する指導は重要であるが、今の英語教育では抜け落ちている。入門期の学習者だからこそ、楽しく、無意識に自動化できる程度にくりかえして長期的に指導したい。
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Causes of Carryover |
専門業者に対する謝礼金を25年度と26年度に分割して支払ったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主に学会発表のための旅費、論文の印刷費、関連書籍などの費用に使用する予定である
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