2014 Fiscal Year Research-status Report
大学入試(個別試験)英語へのスピーキング・テスト導入にむけた調査研究
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25370713
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
羽藤 由美 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (50264677)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 千恵子 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (10305691)
竹井 智子 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (50340899)
ヒーリ サンドラ 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (10460669)
内村 浩 京都工芸繊維大学, 学内共同利用施設等, 教授 (90379074)
山本 以和子 京都工芸繊維大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (90293521)
西江 秀三 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (20143068)
神澤 克徳 京都工芸繊維大学, その他部局等, その他 (00747024)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | スピーキングテスト / 大学入試 / CBT / 教育評価・測定 / 英語 / スピーキング / 国際研究者交流 / イギリス |
Outline of Annual Research Achievements |
大学院および学部個別入試への導入を目的として,コンピュータ方式(CBT)の英語スピーキングテストおよびその実施・採点システムを開発し,1月20~22日に京都工芸繊維大学情報科学センターにおいて,学部1年次生全員と大学院生を含むアンカー受験者(合計701名)を対象とする大規模パイロットテストを行った。この実証実験により,導入に向けた自信を得るとともに,課題も明らかになった。 以下は具体的な実績。(1)問題スペック(テスト細目表)開発:平成29年度大学院入試への導入を想定して,テストの目的,構成概念,タスク,評価基準等を詳細に記述。(2)問題作成:サンプルテストおよび Version1-3のテストを作成。(3)アイテムバンク開設:問題項目に難度,識別力などのパラメータを付けてプールするシステムを構築。(4)CBT テスト実施システム開発:各受験者にモニターの映像とヘッドセットからの音声を介して出題し,ヘッドセットに装着されたマイクを通して回答を録音するシステムを構築。受験者のドライブ上に保存された回答音声ファイルは複数のサーバーを介して回収するとともに,万一に備えてUSBメモリーにもバックアップを作成。(5)オンライン採点システム開発:採点者が各自のID,パスワードでログインすると問題映像を視聴するとともに回答音声が聴け,同一画面上に表示される評価基準の該当スコアをクリックするだけで,採点スコアが入力され自動的に集計されるシステムを開発。701名分のテスト(1人分が9 問で7分30 秒の音声データ)のそれぞれを,ネイティブ採点者とノンネイティブ採点者が採点した。(6)スコア分析とフィードバック方法の確立:受験者を対象とするテスト前後のアンケート調査,スコアデータの分析等に基いて,各受験者にフィードバックを行った。現在,テストの性能向上のために,スコアデータを項目応答理論に基いて分析中。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究は,京都工芸繊維大学内に立ち上げた申請者をリーダーとする研究グループが,一般入試個別試験(英語)にスピーキングテストを導入することを目的として行う調査研究を総括し,大学入試への英語スピーキングテスト導入の可能性を探る事例研究として書籍出版することを目標に進めている。この研究の一環として,平成26年度には,大学入試を想定した大規模な実証実験(被験者701名)を行った。この実験は,科研費申請時に提出した「研究計画調書」では,本研究の到達点として,最終年度(平成27年度)に実施する予定であった。しかし研究の過程で,CBT開発会社の協力を得られたこと,また,大学院入試・学部入試への英語スピーキングテスト導入を達成目標の一つに掲げる京都工芸繊維大学の「スーパーグローバル大学構想」が採択され,大学の積極的な協力が得られたことなどにより,前倒しして行うことができた。そのため,平成27年度には,26年度に行った実証実験を通して明らかになった課題を,可能な限り解決した上で,新たな(科研費申請時には計画していなかった2回目の)大規模実証実験を行うことができるようになった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に行った実証実験の結果,大学入試への英語スピーキングテスト導入に向けた課題が明らかになった。平成27年度には,これらの課題を可能な限り解決した上で,新たな実証実験を行う。また,実証実験の結果を多様な角度から分析し社会にフィードバックする書籍出版の準備を進める。 以下は今後に向けた課題。(1)テスト実施システムの改善:他の受験者の回答音声に影響されないシステム開発,出力(出題)音声および録音(回答)音声の一定化,各種インジケーターの形状・サイズ・位置などを含むインターフェースの向上など。(2)採点システムの改善:採点にかかる時間と費用の削減,採点システムのusability 向上,採点の海外アウトソーシング検討など。(3)問題,評価基準・尺度の改善:項目応答理論に基づく分析等によるタスクの見直し,テストの妥当性向上,採点者が準拠しやすい(採点者内・採点者間の信頼性を維持しやすい)評価基準・尺度の開発など。(4)採点者トレーニングシステム確立:Online による採点者トレーニングプログラム開発(5)効果的な受験生へのフィードバック方法研究。(6)長期的検討課題:タブレット利用,ネットワークシステム研究,採点への人工知能利用,ライティングテスト導入,蓄積される被験者データに基づく各種研究など。
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Causes of Carryover |
科研費申請時に提出した「研究計画調書」では,研究の最終年度(平成27年度)に,大学入試を想定した大規模な英語スピーキングテストの実証実験を行う予定であった。しかし,研究の過程でCBT開発会社の協力を得られたことにより,実証実験を前倒しして平成26年度中に実施できる目処が立った。そのために,問題作成にかかる撮影・録音費用,採点者雇用のための人件費等が必要となり,1,040,000円の前倒し請求を行い,請求額が交付された。しかしその後,大学院入試・学部入試への英語スピーキングテスト導入を達成目標の一つに掲げる京都工芸繊維大学の「スーパーグローバル大学構想」が採択され,上記費用の一部が同事業の予算より配分された。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度に行った実証実験の結果,入試への英語スピーキングテスト導入に向けた課題が明らかになった。平成27年度には,これらの課題を可能な限り解決した上で,新たな(科研費申請時には計画していなかった2回目の)大規模実証実験を行う。平成26年度から繰り越した予算は,この実証実験の経費の一部に充てる予定である。
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Research Products
(5 results)