2015 Fiscal Year Research-status Report
TOEIC(R)スコアの分析に基づくスピーキング能力向上に関する研究
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25370727
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Research Institution | Kanda University of International Studies |
Principal Investigator |
神崎 正哉 神田外語大学, 外国語学部, 講師 (30647847)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澁谷 由紀 神田外語大学, 外国語学部, 准教授 (80648155)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | TOEIC / Speaking / Listening / Reading / Minimal English Test / WTC / MET |
Outline of Annual Research Achievements |
TOEICスピーキングテスト(S)のスコアをスピーキング力の指標として用い、TOEICリスニングテスト(L)およびTOEICリーディングテスト(R)のスコアと比較し、スピーキング力とリスニング力およびリーディング力の関係を調べた。前年度度の研究からSとLRの間には中程度の相関があることがわかったが、相関係数は高くなく、LRは高いのにSが低い学習者や逆にLRは低いのにSが高い学習者が存在した。このような差が生じる原因を探るため、平成25年度は学習傾向および学習者特性を調べるアンケート調査を行ったが、調査項目の範囲が広すぎて、テストスコアとの間にはっきりした関係性を見出すことができなかった。その反省を踏まえ、平成26年度は、スピーキング力の高低に影響を与える要因として、調査対象にする分野をコミュニケーションに対する積極性(Willingness to Communicate, WTC)とネイティブスピーカーの英語に対するあこがれ度の2分野に絞り、アンケート調査を行った。更に5分で英語力を測定できるとされているリスニング穴埋め式簡易英語テストのMinimal English Test (MET) (Maki, Wasada & Hashimoto, 2003)を用い、3種類のTOEICテスト(L, R, S)のスコアとの関係を調べた。平成27年度も同様にTOEIC LR、TOEIC S、MET、およびコミュニケーションに対する積極性とネイティブスピーカーの英語に対するあこがれ度を測定するアンケートを神田外語大学の学生を対象に行った。平成27年度の調査協力者は54人であった(前年度より40名減)。平成26年度分のデータと合算し、結果を口頭発表と論文の形で発表した。TOEIC S-MET間には、TOEIC L-MET間およびTOEIC R-MET間より強い相関があった。TOEIC S-WTC間には有意な相関があったが、TOEIC L-WTC間およびTOEIC R-WTC間には有意な相関は見られなかった。また、ネイティブスピーカーの英語に対するあこがれ度とTOEIC S, L, Rの間には有意な相関は見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の遂行には調査協力者が不可欠である。平成25年度は、「TOEIC S、語彙テスト、調査票調査を受ければ、TOEIC IPテスト(LR)の受験料3,700円を免除」という交換条件で調査協力者を募ったが、TOEIC IPテストの受験料を科研費で賄うことは、受益者負担の観点から問題があると事務方からの指摘があったので、平成26年度は、「TOEIC S、MET、アンケート調査を受けたら、謝金1,000円、ただしTOEIC IPテスト(LR)の受験者に限る」という条件に変更した。調査協力に対する金銭的なメリットが減ったので、協力者が集まるか不安だったが、前年度より6人多い94人の参加者を得ることができた。しかし、平成27年度は54人しか集まらなかった。調査協力者数の減少理由は不明であるが、平成28年度は、より多くの調査協力者を募るべく、何らかの工夫が必要である。謝金を1,000円から3,000円に上げることを検討中である。 TOEIC Sの実施に際しては、試験に使うコンピュータのセットアップ、試験監督、撤収作業等を神田外語大学教務課職員の協力の下に行った。平成26年度よりTOEIC Sの実施方法が簡素化されたこともあり、また3年目で慣れてきたこともあり、滞りなく行うことができた。また、コミュニケーションに対する積極性とネイティブスピーカーの英語に対するあこがれ度に関するアンケート調査はインターネット上のアンケート作成・集計ツールのSurvey Monkeyを利用したので、結果入力の手間が省けた。 平成27年度に学会での発表を2回行い、発表内容を論文にまとめ、Conference Proceedingsに寄稿した。平成28年度に出版される予定である。また、平成27年11月に学会誌に論文が掲載された。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度も神田外語大学の学生から調査協力者を募り、研究を行う。本年度はTOEIC LR、TOEIC S、TOEICに関するアンケート調査等を実施する。質問項目は、基本的に平成27年度と同じものを使うが、部分的に加筆訂正する予定である。METおよびコミュニケーションに対する積極性とネイティブスピーカーの英語に対するあこがれ度に関するアンケート調査は、研究が一区切りついたので、平成28年度は行わない。 また、平成28年度も前年同様にTOEIC Sを行う前に試験形式の説明を詳しく行う予定である。これは、TOEIC Sにおいて試験形式に不慣れなことが原因で、スピーキング力を十分発揮できないという参加者を少しでも減らすことを目的とする。 5月に沖縄で行われるJALT PanSIG 2016 Conferenceで口頭発表を行うことが決まっている。11月に名古屋で行われるJALT 2016での口頭発表の応募をしており、現在、結果待ちである。発表内容は論文の形にまとめてPostconference Publicationに寄稿する予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じたのは、調査協力者の数が少なく、TOEIC Sの受験料および謝金の支払額が減ったことが大きい。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は調査協力者を多く集めて、繰り越し分を使う予定である。
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Research Products
(2 results)