2014 Fiscal Year Research-status Report
新任中高英語教員の発達過程に関するケーススタディ:可能自己理論を用いて
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25370728
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Research Institution | J. F. Oberlin University |
Principal Investigator |
熊澤 雅子 桜美林大学, 言語学系, 講師 (20386478)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | teacher development / teacher cognition / teacher belief / possible selves theory / narrative inquiry |
Outline of Annual Research Achievements |
1. データ収集:2014年度から継続し英語教職課程履修者を主対象としてデータ収集を行った。4月に英語教育に関する意識調査アンケート、5月に英語科教育法の授業観察、12月に個別インタビューを行った。アンケートの回答者は14名、インタビューの参加者は9名であった。また2015年度より英語教員に採用が決定した学生1名が研究参加者に加わり、データ収集を開始した。またコミュニカティブな英語授業を実際に行う現職教員からも参考としてデータを収集した。 2. データ分析:データ収集と平行し分析を進めた。アンケート、授業観察のフィールドノートはデジタル化し、インタビューは文字起こしの後、デジタル化した。分析には質的分析手法を用いて、データを読み込み大まかにコード化を施した上で、理論的枠組みとしてはpossible selves theoryを、分析的枠組みとしてはnarrative inquiryを主に用いて、各研究参加者の意識の経年変化をそれぞれのlife storyの中で解釈している。 3. 研究活動の意義と今後の展開:上記のデータ収集及び分析により、教職課程履修者の英語教育に対する意識における変化を、昨年度と比較して調査することができた。同じ研究参加者に対し継続的にデータを収集することにより、このような変化が観察できるのに加え、質的調査に不可欠な研究者と研究参加者の信頼関係の構築にもよい影響をもたらし、データの質が高まることが期待できる。また新たに教員採用の決まった4年生が研究参加者に加わったことでデータ収集のサイクルの遅れを取り戻すことができることになった。今後の見通しとしては、2015年度4年生になるグループからは教育実習時の観察や実習後のインタビューを、教員となる1名からは赴任校での授業観察やインタビューを行い、データを引き続き収集し分析を行うとともに、研究成果を学会で発表する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究初年度の2013年度に研究参加者へのアクセスの問題からデータ収集対象を4年生から2年生に概ね変更したことにより、4年生に対して行う計画だった教育実習時のデータ収集が出来ず、その代わりに2年生を対象として教職課程の早い段階からの意識調査を行った。研究2年目の今年度は、3年生に進級した同グループに対して継続的に調査を行い、データは蓄積されているものの、収集サイクルとしては2年分遅れている状態であった。しかし、教員採用の決まった2014年度に4年生だった学生1名から研究協力が得られることになり、その学生については大学4年次から新任教員となる2015年度以降、データ収集ができることになった。これにより遅れを一年分ではあるが取り戻すことができる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、上記に述べた二つの研究参加者グループからデータを継続して収集していく予定である。主要なグループは2015年度に4年生に進級した学生のグループで、今年度は教育実習を中心に彼らの英語教育に対する意識がどのように変わっていくのか(あるいは変わらないのか)を、授業観察、アンケート、インタビューを通じて調査していく。また彼らの中で実際に英語教員になる学生に対しては、来年度以降に向けさらにデータ収集を行う予定である。もう一つは、2015年度新任英語教員となった研究参加者において、実際の教員としての経験が、どのように英語教育に対する意識に影響を与えるのかを調査する。特に後者の参加者の加入により、当初計画にあったように、教育実習から新任者としての流れの中での変化の調査が可能になり、研究成果の充実が期待される。 上記データ収集と平行して、今まで同様にデータの分析を行い、関連学会に中間報告として経過を発表して行くことを計画している。
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Causes of Carryover |
当該年度の所要額が実支出額を下回った原因の主なものは、2014年3月に予定していた海外での学会発表を取りやめたことである。取りやめた理由は、発表の選に漏れたことに加え、学内業務の繁忙期と学会発表の時期が重なったためであった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、学会発表を増やし、海外、国内で各2度行うことを予定している。それに加え、収集データが増える見込みのためデータ整理の人件費の増加も予想される。その収集データもかなり蓄積されてきたことから、本格的なデータ分析に必要なデータ分析ソフトの購入も計画している。
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