2015 Fiscal Year Research-status Report
新任中高英語教員の発達過程に関するケーススタディ:可能自己理論を用いて
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25370728
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Research Institution | J. F. Oberlin University |
Principal Investigator |
熊澤 雅子 桜美林大学, 言語学系, 講師 (20386478)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | teacher development / teacher cognition / teacher belief / narrative inquiry |
Outline of Annual Research Achievements |
1.データ収集:2015年度は、2013年度より継続して研究に参加している桜美林大学英語教職課程履修者(2015年度の時点で4年生)を主な対象として継続してデータ収集を行った。教育実習直前の5月には教育実習に対する意識を調査するアンケート、その後教育実習後には振り返りのインタビューを行った。アンケート、インタビュー共にメンバーは同じで、人数は7名であった。そのうち、教員になることが決定した1名に対しては12月にインタビューを実施し、教員になるにあたっての意識を再度調査した。それに加えて、2014年度より研究対象者として加わった卒業生の現職教員も継続的に研究に参加した。当教員は2015年度より教員となり、高校に勤務している。定期的にメールで現状を聞くのに加え、6月に勤務校と授業の観察を行ったのに加え、6月、8月、3月に直接インタビューを行い、英語教育に対する意識の変化を調査した。 2.データ分析:データ収集と平行してデータ分析を進めた。まずアンケート、授業観察のフィールドノートはデジタル化し、インタビューは文字起こしを行いデジタル化した。分析には質的分析手法を用い、それらのデータを読み込み、ある程度コード化を施した上で、理論的枠組みとしてはpossible selves theoryを、分析的枠組みとしてはnarrative inquiryを主に用いて、各研究参加者の2013年度からの経年変化を、それぞれのlife storyの中で解釈している。新規データが加わるたびに新たな解釈が必要となるため、分析は常に進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究初年度に、研究参加者へのアクセスの問題からデータ収集対象を4年生から2年生に変更したことにより、初年度は4年生に対して行う計画だった教育実習時のデータ収集が出来ず、その代わりに2年生を対象として教職課程の早い段階からの意識調査を行った。研究2年目は、3年生に進級した同じグループに対して継続的に調査を行うのに加えて、教職に就く予定の学生から研究協力が得られることになり、この遅れを1年分であるが取り戻すことができた。研究最終年度は、同じ流れで教職課程の大学4年生のグループと現職教員1名からデータを収集した。結果、予定とは異なり、研究データの主な対象が現職教員ではなく教職課程の学生となったため「やや遅れている」としたが、教職課程の学生の3年分のデータを蓄積出来たこと自体には意味があるといえ、研究の成果としては十分なものがあったと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
科研費研究課題としては2015年度で最終年度を迎えたが、上記に述べたように教職課程の初年度から3年間継続して蓄積したデータを活かして、今後も研究を継続したいと考える。具体的には、2016年度より教員となることが決まった教職課程の学生2名から研究協力の継続を承諾してもらえたため、今後、現場の教員となってから彼らの英語教育に対する意識がどのように変化するのかを長期的なスパンで調査して行きたい。また、今まで得られたデータの分析を更に進め、まずは教職課程の3年間の変化のまとめを論文にまとめたいと考える。
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Causes of Carryover |
購入予定だったデータ分析ソフトの新規購入を行わず、既存のソフトで研究を継続したことが差額が生じた理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究課題の延長が認められた2016年度は、言語教育の心理的な問題を扱う国際学会において、本研究の成果を発表することを主な活動として申請した金額を使用することを計画している。
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