2015 Fiscal Year Annual Research Report
外国語学習における言語学習観の形成とパブリック・ディスコース
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25370730
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
小田 眞幸 玉川大学, 文学部, 教授 (60224242)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 学習観 / パブリック ディスコース / 言語学習動機 / ナラティブ / 自己省察 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成25年度より実施した3年間の研究全体で外国語学習者の学習観の形成の過程における外的要因としての「パブリック・ディスコース」の役割を確かめること、そして言語学習を通時的にとらえた場合、どの段階でその影響が顕著であるかという点を解明し、こういった外的要因が学習の妨げにならないように学習者がどのように向き合っていくべきかを論ずることが目的であった。
平成27年度はその完成年度として、特に7名の大学生のインタビューデータをそれぞれの「ナラティブ」としてさらに見直すことにより、学習者の動機、言語学習への態度、学習観の形成の要因との相互関係をモデル化するとともに、学習観の形成に外的要因がどの段階で大きく影響するのか、またその中で「パブリック・ディスコース」がどのようにかかわっているのかについての解明を試みた。当初の研究計画より、本研究はインタビューデータを中心に批判的ディスコース分析(Critical Discourse Analysis)を用い、データから読み取れる学習者の言語学習に対する考え方の変化とその結果としての実際の行動へのつながりを見つけ、様々な段階で変化の外的要因となったものを分析した。
インタビューの対象となった学習者は大学で自ら英語を選択し学び続けている学生であったが、彼らの半数以上は、受験という目標がなくなった大学入学以降、マスメディアなどから得た情報が外国語(英語)を学び続けるに至った要因となっている。判断の材料が多くなったことは一見好ましく見えるが、外的な情報が限られているため、これらを無制限に受け入れることが学習を妨げる要因になっていることも無視できない。したがって、特に成人学習者が自らの英語(外国語)学習を省察する機会を与え、必要に応じて軌道修正ができるようなプログラム開発が望まれる。
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