2014 Fiscal Year Research-status Report
外国人被疑者刑事事件における「文化の仲介者」としての法廷通訳人の役割論
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25370745
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Research Institution | Kansai Gaidai University |
Principal Investigator |
毛利 雅子 関西外国語大学, 外国語学部, 講師 (20636948)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 法廷通訳 / 文化の翻訳 / 通訳認証制度 / 通訳人倫理規定 / 裁判の公正さ |
Outline of Annual Research Achievements |
日本における法廷通訳人制度、およびその中でも特に文化の仲介者としての役割論を中心に、資料収集、実地調査(法廷見学および自らが法廷通訳人として活動することによって資料や情報を収集)を行ってきた具体的には、年間を通じて、幅広い意味での司法通訳・翻訳人を務め、裁判所のみならず、警察・検察・入国管理局・税関での通訳・翻訳業務を行い、それぞれの事案において、各被疑者の出自、犯罪事実、取り調べ、公判での談話を収集う、データを蓄積してきた。 また、平成26年2月にはアメリカでの実情調査および法廷見学に赴き、米国の法廷通訳人制度について幅広い情報を得ることができた。また平成26年度には海外に2本の論文投稿、また国内外で7回の研究発表を行った。これらの活動により、各国の研究者および通訳養成機関や派遣機関の担当者と情報交換を行う場を持つことが出来たことで、さらに幅広い実地情報や研究活動が可能になってきている。 さらに、これらの活動により平成27年度は既に3回の海外学会発表が決定している(1件は4月に終了)。 これらの活動を踏まえて、さらに国内外における調査や資料収集、また自らの通訳人・翻訳人業務から得た資料・情報に基づき、年間を通して論文執筆・投稿、また学会発表を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、可能な限りの外国人被疑者・証人談話データを収集する予定だったが、想定レベルには達しなかった。これは想定されていたことではあったので、データ収集活動は平成26年度も引き続き継続してきた。 これと並行して、文化の仲介者としての通訳人の役割については、アメリカでの実施調査やデータ収集、インタビューなどから、幅広い情報を取得出来た。同時に、海外での学会発表で知己を得たり情報収集が可能になったことから、異文化コミュニケーションの視点からの情報収集、文献研究を進めてきた。また継続して、通訳人教育、通訳人認証試験制度への試案作成も継続中である。特に、言語運用能力、倫理規定など昨年度までと同様に広い視点から検討しているが、これに加え、異文化コミュニケーション能力および理解、さらには異文化コミュニケーション教育からの広い知見が必要となることを実感、さらなる文献研究、情報収集が必要と思われる。 通訳者教育および認証試験制度にに関しては平成25年度から継続して行っているが、法務省の施策、また弁護士会の動向によって柔軟な対応を求められており、まだまだ時間が必要と思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25-26年度から継続して、平成27年度も、法廷をはじめあらゆる司法通訳・翻訳の場における談話データ収集に努めていく。加えて、自ら通訳人となる可能性がある場合には、積極的に関わり、談話データ情報・資料収集も務めていく計画である。 同様に、継続して海外諸国の通訳人認定・養成制度の調査も継続して行っていく。その中でも特に文化の仲介者としての役割論に注目し、日本の現状を鑑みながら更なるデータ収集と言語としての日本語、また日本の文化を取り込んだ提言作成に取り組んでいく。 加えて平成27年度も引き続き、国内外での学会発表を実施、特に海外での学会は各国研究者との交流でさらに知見を深めることも多いため、可能であればインタビューも取る予定である。 それらを積み重ねた上で、情報を精査し、通訳人に求められる言語能力、文化の仲介者としての役割論を提示する。またそのために必要となる通訳人認証資格制度、養成制度、教育教材の開発を継続的に行っていく。特に、社会言語学、異文化コミュニケーション論、通訳学、翻訳学と学際的な知見を含めたものとするため、多くの文献にあたり、また実地調査や面談を行う予定である。
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Causes of Carryover |
主として旅費精算で使用したことと、予定していたアルバイトが雇用できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
使用計画そのものに変更はない。最終年度として平成27年度も継続的に談話収集、資料収集、および調査に努めていく。現在までのところ、旅費を含め概算支出枠の見通しが立っているので、計画そのものに支障は出ないと考えている。
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Research Products
(11 results)