2014 Fiscal Year Research-status Report
アムール川下流域で生産された装飾品及び外来交易品の周辺諸民族への波及に関する研究
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25370755
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Research Institution | History Museum of Hokkaido |
Principal Investigator |
東 俊佑 北海道開拓記念館, 学芸部, 学芸員 (30370224)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 交流史 / 北海道史 / 北方諸民族 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、これまでの先行研究において、主に文献記録により形作られてきたアムール川下流域・サハリン地域の諸民族間の交易活動のあり様を、金属製の飾り物や中国製絹織物等の物質文化資料の調査・分析・解釈によりとらえ直すことである。2014(平成26)年度は以下のとおり、ロシアの極東地域に赴き実地調査を行った。 (1)調査の概要:2014年9月2日~14日、ロシアのハバロフスク、ニコラエフスク・ナ・アムーレ、ボゴロツコエ、ブラワーで調査を行った。調査は、榎森進氏(研究協力者、東北学院大学名誉教授)とともに2名で行った。ハバロフスク州郷土博物館、ニコラエフスク市立郷土開拓博物館、ボゴロツコエ村ウリチ地区郷土博物館では、中国製の絹織物、金属製飾り等の交易に関する物質文化資料を収蔵庫から出納してもらい、資料の計測と写真撮影を行った。一部、資料カードの閲覧が可能なものについては、写真撮影を行った。ブラワー村ウリチ民族芸術学校では、村在住のウリチ民族の方数名に、ご自宅に保存されている資料を持参していただき、計測、写真撮影とともに、聴き取り調査を行った。 (2)調査の整理・分析:(1)の調査終了後、データの分析を行った。資料1点ごとの計測値を入力し、形状・大きさにより分類を行った。また、ロシアや中国の研究機関・博物館が発行する図録等に掲載されている写真と調査資料写真を比較しながら、資料の同定を行った。 (3)調査の成果:整理・分析の終わったボゴロツコエ、ブラワーの資料について、勤務先の研究紀要(『北海道開拓記念館研究紀要』第43号、2015年3月刊)に「アムール川下流域住民の交易活動に係る物質文化資料について-2014年度ボゴロツコエ、ブラワー調査報告-」と題し成果報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、予定していたロシア・ハバロフスク調査を実施することができなく、自己点検により「(4)遅れている」の評価となったが、平成26年度の調査は、平成25年度分調査と合わせて2年分の調査を実施することができ、遅れを取り戻すことができた。また、成果報告についても、年度末に平成26年度調査の概要を報告することができた。最終年度にあたる平成27年度に調査結果をまとめ、分析するにあたって、前年度までの段階で必要な材料を集めることができ、分析環境は概ね整っていることから、自己点検の結果「(2)おおむね順調に進展している」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、これまでの調査で収集した資料・材料をさらに分析し、調査成果をまとめ公表する。また、日本では先行研究の少ない北東アジア諸民族の物質文化資料研究について、ロシア、中国等の外国文献の翻訳をすすめる。研究代表者が前回の科研で扱ったサハリンのニヴフ民族への聴き取り調査など、これまでの自身の研究、日本の先行研究、及び文献記録、新たに調査収集した資料の解析、外国の研究などを総合的に見渡し、多角的な分析をすすめる。
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Causes of Carryover |
ロシア国内移動の航空券やビザ取得代金、資料閲覧・撮影料など、知り合いの大学教授やロシア博物館職員の伝を頼りに手配したため、当初の予定より支出経費を安く抑えることができたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度未使用分は、今年度支出予定の翻訳料や文献購入費に充当し、当初計画よりも充実した研究分析の環境を整え、年度末の成果に反映させる。
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