2015 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本軍隊の食とその国民生活への影響に関する研究
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25370761
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
一ノ瀬 俊也 埼玉大学, 人文社会科学研究科(系), 准教授 (80311132)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 軍隊 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、当初近代日本の軍隊における「食」のあり方が一般社会にどのような影響を与えてきたのか、という観点から史料の収集と分析を行った。本年度は、研究課題を若干変更して、近代日本における「食」のみならず海軍、軍艦にまつわる諸言説が戦前戦後の日本社会の戦争観、軍隊観をいかに規定したかという問題についての研究を行った。 具体的には、次の二つの課題を設定した。1.まず戦争中の海軍がいかなる論理で軍拡、艦隊の増勢を国民に訴えかけたか、という問題である。そのため、戦前の海軍が発行した一般国民向け宣伝パンフレットを収集、考察した。2.敗戦後から現在に至るまで、日本社会における戦争像を戦艦や海戦に関する映画や小説、マンガなどの中から探った。とくに戦艦武蔵に注目し、吉村昭『戦艦武蔵』や佐藤太郎『戦艦武蔵の最後』、渡辺清『海の城』、戦友会の発行した記念誌『嗚呼戦艦武蔵』『続!! 嗚呼戦艦武蔵』などにおいて、武蔵とその戦いにいかなる意味づけがなされたのかを、2015年、いわゆる戦後70年と武蔵の船体発見に際して公刊された種々の武蔵関係図書との内容比較を行いながら考察した。 その結果、1.に関しては大陸権益の擁護という海軍の存在意義にまで溯った説明が行われていたこと、2.に関しては生還者は自らの戦争体験の意味づけとして武蔵体験を語ったものの、戦争を直接体験していない世代にはそのような拘りがないため、武蔵が「想いや覚悟」といった抽象的理解にしかなっていないことが確認された。
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Research Products
(2 results)