2013 Fiscal Year Research-status Report
近世品川宿村の分節的な社会=空間構造に関する基礎的研究
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25370764
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 伸之 東京大学, 人文社会系研究科, 名誉教授 (40092374)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 品川宿村 / 社会=空間構造 / 全体史 / 比較類型把握 / 食売旅籠屋 / 遊郭社会 / 民衆世界 / 地域社会構造 |
Research Abstract |
本研究は、近世の品川宿村における社会=空間構造の全体像把握を試みるための第一段階としての基礎研究である。当該年度では、まず前提として、基本となる史料群の再把握を実施した。その中での主たる成果は①『品川町史』全三巻(1932年刊)収録史料の詳細目録のデータ入力に着手した(依頼により実施中)、②南品川宿名主利田家文書の階層構造分析を開始した、③東海寺文書、稲荷門前文書、南品川妙国寺裏門前文書などの寺社文書に関する所在状況と内容の概況を確認した、などである。また、研究成果としては、①当該テーマに関する二つの論考、「幕末期、江戸の周縁と民衆世界」(『歴史評論758)、「品川歩行新宿と食売旅籠屋」(『シリーズ遊郭社会』上巻、吉川弘文館)を公表した、②上海大学で開催された国際シンポジウム「都市社会史の方法と実践ー中国と日本の比較をとうして」(2014年1月、主催:上海大学文学院歴史系)で「伝統都市・江戸の分節的把握」と題する基調講演を行い、品川宿村に関する研究成果の一部を報告した、③品川区で開かれた「人権啓発・社会同和教育講座で「人々の暮らしと社会ー近世品川と民衆世界」(2013年10月7日、品川区中小業センター)というテーマで、当該年度の研究成果を基に講演を行った、などがある。またこれらの研究により、①江戸西部近郊の町村社会、②南信州山里と小城下町における都市・農村を包括する地域社会構造、との比較類型把握について、それぞれの史料所在状況や、論点の摘出と明確化に取り組み始めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記したように、第一年度としてはほぼ順調な成果を得た。しかし、①史料調査関係の機材整備に手間取る、②データ入力などの補助員確保がスムーズに進展しない、③本研究課題の主要な調査研究対象である品川宿村以外への研究展開がまだ端緒的な段階にある、などの問題点を残した。
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Strategy for Future Research Activity |
2014~2015年度においては、申請書類に記した研究計画に準拠し、着実に調査研究を推進し、成果を積み重ねる。また、特に江戸西部近郊の町村区域における社会=空間構造や、これらと対蹠的な位置にある山里における町村地域社会との比較類型把握を同時に推進し、本研究の意義をさらに高度化する取り組みを試みたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
①史料目録のデータ入力に関する人員確保に手間取り、謝金支出が滞った。 ②史料調査機材の一部が未購入である。 次年度において、前年度計画に基づき、上記①②について速やかに執行する。
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Research Products
(5 results)