2015 Fiscal Year Annual Research Report
近世品川宿村の分節的な社会=空間構造に関する基礎的研究
Project/Area Number |
25370764
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 伸之 東京大学, 人文社会系研究科, 名誉教授 (40092374)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 江戸近郊の地帯構造 / 食売旅籠屋 / 悪党 / 疑似遊廓 / 寺社小門前町群 / 宿村 / 地方百姓 / 都市下層社会 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、江戸南端に隣接し、一部が江戸町方に包摂される「品川宿村(しゅくむら)」を対象とし、江戸近郊における地帯構造の解明をめざして取り組んだものである。そこでは、次のような成果をあげた。 ①品川宿村の社会=空間について、まず地帯としての「北品川」に注目した。そこでは、宿駅である北品川宿1~3丁目・歩行新宿1~3丁目、及び数個の寺社小門前町群の複合的な併存がみられ、それぞれにおける社会構造の分節的な特質を具体的に明らかにした。 ②また当該地帯の社会を統合するヘゲモニー主体として、a地方百姓の共同組織である村、b食売旅籠屋の共同組織、の二つから構成さえる特異な有り様を見いだした。 ③特に、北品川歩行新宿における食売旅籠屋や茶屋仲間を中心に、「疑似遊廓」の存在形態とその特質を解析した。 ④南北品川宿における都市下層社会の分厚さを論じ、なかでも当該社会に定在する「悪党」や無宿、また「ぶらんさん」(無為徒食の者)と呼ばれる社会層に注目し、併せてそうした民衆存在のライフヒストリーの叙述を試みた(吉田伸之『都市―江戸に生きる』岩波新書、2015年)。 今後の課題としては、ⅰ南品川宿村の構造分析、ⅱ品川猟師町の社会=空間構造の解明、などが残された。
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Research Products
(5 results)