2013 Fiscal Year Research-status Report
現代都市下層社会の歴史的研究‐高度経済成長期の大阪「釜ヶ崎」地域を事例に
Project/Area Number |
25370766
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
能川 泰治 金沢大学, 歴史言語文化学系, 教授 (30293997)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 都市下層社会 / 釜ヶ崎 / 聞き取り調査 |
Research Abstract |
本研究の目的は、聞き取り調査の成果と文献史資料を駆使することによって、日雇労働者と野宿生活者が集住する大阪市の「釜ヶ崎」地域の歴史的形成過程と、「釜ヶ崎」を視野に入れた高度経済成長期の社会構造を明らかにすることにある。 上の目的を達成するために、今年度は、新たに聞き取りに取り組むと同時に、これまで取り組んできた聞き取り調査に協力して下さった人びとのうち、ライフヒストリー全般を語って下さった方の聞き書き形式の論文を作成する作業に取り組む予定であった。しかしながら、聞き書き形式の論文を作成するまでには至らず、聞き取り記録集の刊行にとどまった。今年度の実施計画では「可能であれば聞き取り記録集の作成も目指したい」と表明していたので、今年度の課題を一定程度達成したと評価することができるが、その記録集に収録した聞き取りの大部分が2012(平成24)年度に取り組んだものであるため、聞き取りに取り組むという課題の達成度は低いと言わざるを得ない。 また、本年度は大阪へ頻繁に足を運び、現地での聞き取り調査と文献史料収集に取り組む予定であったが、本務校の学内での用務が急激に多忙化したため、毎月末に大阪へ出てきて現地調査をすることはかなわなかった。ただし、夏季休業期間を利用して、現地見学会に参加することはできた。 さらに、聞き取り調査の方法については、歴史学研究においても様々な必読文献が刊行されているため、これらの研究成果を総括して私自身の方法論についても明確にすることを目標としていたが、必読先行研究の検討は現在進行中で、総括するには至っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
今年度の研究活動は僅かな回数の現地調査と文献史資料収集及び聞き取り記録集刊行にとどまり、研究論文の作成には至らなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究目的達成度の評価を「遅れている」と自己評価せざるを得ない現状を真摯に反省し、先行研究の検討と現地調査の実施を急ぐ。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額が生じたのは、計画通りに現地調査を実施することができなかったため、旅費の支出が予定より少なかったこと、および日本近現代史に関する図書を計画通り購入することができなかったため、物品費の支出が予定より少なかったことによるものである。 当初計画していた以上に現地調査を実施し、また日本近現代史に関する図書を予定より多く購入することで、次年度使用額を消化する予定である。
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Research Products
(1 results)