2015 Fiscal Year Annual Research Report
現代都市下層社会の歴史的研究‐高度経済成長期の大阪「釜ヶ崎」地域を事例に
Project/Area Number |
25370766
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
能川 泰治 金沢大学, 歴史言語文化学系, 教授 (30293997)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 都市下層社会 / 高度経済成長 / 釜ヶ崎 / 裸の会 / 労務者渡世 |
Outline of Annual Research Achievements |
年度初めに数度にわたって大阪へ出張し、大阪市立中央図書館にて高度経済成長期(1960~70年代)の大阪・釜ヶ崎地域と、そこで頻発した暴動に関する新聞記事を収集する作業に取り組んだ。その過程で、当該期の釜ヶ崎では「三文詩人」を自称する警察官によって「裸の会」という名称の文芸サークルが組織され、『裸』というタイトルの機関誌が刊行されていたこと、さらに様々な社会運動を通じて同地域に流れ着いた活動家・詩人・労働者によって『労務者渡世』というタイトルのミニコミ誌が刊行されていたことに注目し、この二つの文芸誌を素材に当該期の釜ヶ崎地域における労働者文化の形成について考察することを課題とした。 年度の前半は、『裸』『労務者渡世』の全巻閲覧とその中の重要記事の複写、および『労務者渡世』の編集に関わった人物からの聞き取りに取り組んだ。夏休みから年末にかけて学内業務が超多忙化したため、研究調査活動に空白が生じてしまったが、年明けより研究調査を再開し、当該資料の閲覧・複写及び関係者からの聞き取りに取り組んだ。 その結果、「裸の会」の活動については、本学の紀要である『金沢大学歴史言語文化学系論集 史学・考古学篇』第8号(2016年3月刊行)に、論文「高度経済成長期の大阪・釜ヶ崎に生きた警察官の詩と随想」を掲載することができた。また、この年度内に間に合わせることは出来なかったが、2016年4月には、『裸』と『労務者渡世』という二つの文芸誌に関する研究成果を、大阪歴史学会の近代史部会で発表する予定である。
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Research Products
(2 results)