2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25370767
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
佐藤 全敏 信州大学, 学術研究院人文科学系, 准教授 (20313182)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 宇多天皇日記 / 観心寺如意輪観音像 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、「十二単」「重ね色目」の関係史料の網羅的収集にあたる一方、それらの成立過程を検討する一環として、大阪河内長野市の観心寺に所蔵される平安初期の如意輪観音像の最終分析を行った。美術史関係者の貴重なご教示ご指導を受けつつ、論文として美術史専門学術雑誌に発表することができた(「観心寺如意輪観音像 再考」〔『美術研究』413号、平成26年10月刊行、東京文化財研究所〕)。なお、上の論文に含めなかったが、この観心寺如意輪観音像をめぐっては、その様式が唐から伝わったものである可能性があること、その製作は官営工房であったこと、遣唐使帰朝との関係を慎重に検討する必要のなることなども口頭報告しており、平成27年度中に活字化する予定となっている。また関連して新出史料の発見もあったので、これも平成27年度中に公表予定となっている。 ところで本研究は、「国風文化」の特質を、海外文化の「摂取の論理」「受容の構造」との関係から検討しようとするものであるが、その前提として、朝廷社会の受容に向けた変容を考えなければならない。幸い歴史学研究会古代史部会から依頼があり、平成28年度当学会大会での共同報告を行うことなり、そのテーマとして朝廷社会の変容をとりあげることとした。その準備として、本年度は1月から3月にかけて3回の口頭報告を行うこととなり、5月に大会報告が行われることとなっている。「十二単」が唐衣・裳という、中国起源の服を表面に羽織りながら、その下には非中国的な服が着られているその構造を、国家システムのなかにも読みとれる報告になることが予想される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、「国風文化」と呼ばれる文化現象に海外文化がいかに組み込まれていたのかを明らかにするため、その組み込まれ方の構造(文化受容の構造)について、「十二単」「重ね色目」」「宇多天皇日記の文体」の3つを通じて具体的に検討し、「国風(日本風)」とされてきたものの内実を明らかにすることを目的とするが、本年度はそのうちの「宇多天皇日記の文体」について論文が刊行され、さらに「重ね色目」に関連する「観心寺如意輪観音像再考」なる論文も刊行された。また最終年度に行う予定であった、分析の総合化に必要な朝廷内部構造の分析も、3度にわたって口頭報告を行うことができた。史料収集もだいたい目標通りのペースで進んでおり、おおむね順調に進展していると評価できると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
「十二単」と「重ね色目」に関する史料収集を終了させてデータベースを完成させるとともに、両者を構成する論理を考察する。あわせて「宇多天皇日記」の文体を構成している論理も考察する。以上をふまえ、海外文化の「摂取の論理」「受容の構造」という観点から、「国風文化前夜」「国風文化とは何か」というテーマにて論文を2本を執筆する。
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