2014 Fiscal Year Research-status Report
歴史学と考古学による播磨国風土記の地方神話史料群の共同研究
Project/Area Number |
25370772
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
坂江 渉 神戸大学, 大学院人文学研究科, 講師 (00221995)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
魚津 知克 大手前大学, 付置研究所, その他 (70399129)
高橋 明裕 立命館大学, 文学部, その他 (90441419)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 播磨国風土記 / 神話 / 古道 / 地域祭祀 / 竜山石 / 石棺 / 古墳 / 広域流通 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、播磨国風土記の神話史料群に光りをあて、古代の地域社会の実像と、それを包摂・編成しようとする広域権力(国内外の諸勢力と倭王権)との関係、およびその変遷過程について、歴史学と考古学の立場から共同解明していく点にある。平成26年度は、現地資料・巡見調査を合わせて8回、研究分担者会議を2回おこない、以下の成果を得た。 (文献史チーム)①播磨国風土記の神話史料を整理・分析して、古代の口承儀礼の構造を明らかにし、その成果を関連学会で報告した(出雲古代史研究会大会・大阪歴史科学協議会例会)。②昨年度に引き続き、播磨国の神前郡と賀毛郡をつなぐ古道の現地調査・聞き取り調査を実施し、その成果を兵庫県教育委員会等の報告書に執筆した。③風土記の氏族伝承を素材にして、6世紀を中心とする倭王権の播磨編成について分析し、その成果を大阪歴史科学協議会の大会において報告した。 (考古学チーム)①昨年度に引き続き、竜山石製家形石棺の基礎データを収集した。広域流通した類例についても、広島・岡山県域を中心に実地調査をおこない、受け入れ側の地域社会の様相把握につとめた。②波形石や鷲の山石といった、西日本における他の石材の石棺流通についての把握につとめ、古墳時代から飛鳥時代にかけての流通構造についての比較検討の基礎とした。③石材の生産・流通の側面からみた、倭王権と地域首長権との関係推移について、概念的な整理をおこない、成果を各種学会・シンポジウムで発表した。このうち2015年2月の「フォーラム・播磨国風土記と石作集団」では、考古学チームの研究分担者が報告者を、文献史チームの2人が「コーディネーター」役をつとめ、それぞれの立場から研究成果の発表をおこない、来年度のまとめに向けての相互理解と、情報発信をおこなうことができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、歴史学と考古学が共同して、古代播磨(針間)の政治構造とその変遷過程について、倭王権の地域進出の問題と結びつけて解明することを目的としている。この目的の達成のため、本年度は、2015年2月開催の「フォーラム・播磨国風土記と石作集団」に向けて、事前に十分な準備作業と共同討議をすすめ、当日、研究代表者と2人の研究分担者が、最新の研究成果の発表と意見表明をおこなった。これにより、来年度のまとめに向けて、相互理解を深めることができたので。
|
Strategy for Future Research Activity |
文献史チームと考古学チームが、本年度の2015年2月のフォーラムで発表・表明した研究成果の中身を、もう一度十分に練り直して総合化し、学会および学術雑誌等に公表し、情報を学会全体で共有できるよう努力する必要がある。また本年度までの個別の現地調査でやり残した点やフィールドについて再整理し、その補充・補填につとめる。
|
Causes of Carryover |
年度末に、新しく発見された播磨国風土記に関連する資料の調査をおこなう予定であったが、調査先の関係者の都合により、急遽、調査実施をできなくなったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
新年度の早いうちに当該資料の集中調査をおこなう予定である。
|
Research Products
(11 results)