2013 Fiscal Year Research-status Report
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25370787
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido Information University |
Principal Investigator |
平子 玲子 (広瀬 玲子) 北海道情報大学, 情報メディア学部, 教授 (60216596)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 植民地責任論 / 女性の植民地責任 / 植民地朝鮮 / 在朝日本人女性 / 愛国婦人会朝鮮本部 |
Research Abstract |
日本の植民地であった朝鮮に在住した日本女性が、植民地支配において果たした役割とその責任を明らかにしようとするという目的で研究を進めた。具体的には以下のとおりである。 1 日本における官製婦人団体、植民地における官製婦人団体に関する研究をサーベイした。守田佳子『社会活動を行う愛国婦人会』太陽書房、2007年には事実関係を把握するうえで多くの教示を得た。洪郁如「日本の台湾統治と婦人団体―1904~1930年の愛国婦人会台湾支部に関する一試論―」(『立命館言語文化研究』10-5・6号、1999年)、同「『愛国婦人会台湾本部沿革史』解説」(『愛国婦人会台湾本部沿革史』下巻、ゆまに書房、2007年からは、同じく植民地であった台湾と朝鮮の愛国婦人会を比較検討するための示唆を得た。 2 朝鮮愛国婦人会に関する文献資料調査と収集を行った。『愛国婦人』明治期復刻版 柏書房、『愛国婦人会朝鮮本部概要』愛国婦人会朝鮮本部編発行、1941年、『朝鮮公論』、『朝鮮及満州』から朝鮮愛国婦人会関連の記事を収集した。 3 朝鮮愛国婦人会の活動と密接に関連する資料として、『国民精神総動員運動実施要項』京城府、1940年を収集し、雑誌『国民総力』国民総力朝鮮連盟発行から愛国婦人会関連部分を収集した。 4 以上収集した文献・資料をもとにして、朝鮮愛国婦人会関連年表の作成を開始した。 5 植民地朝鮮における日本女性の位置を知るために、『朝鮮総督府統計年報』各年版と、朝鮮国勢調査結果から、日本人人口の推移・職業別人口(男女別)、朝鮮人人口と職業別人口(男女別)を析出し、比較検討した。これによって日本人の職業構成の特徴が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本における官製婦人団体、植民地における官製婦人団体に関する研究のサーベイは順調に行うことができた。 朝鮮愛国婦人会に関する文献資料調査と収集については、ほとんど国内で行うことができた。予期せぬ資料にも遭遇・収集することができた。 関連年表作成はまだ完成には遠いが、加筆しながら愛国婦人会の活動の全貌がつかめるように継続する。 日本人人口の推移・職業別人口(男女別)、朝鮮人人口と職業別人口(男女別)を析出し、比較検討することは、当初考えていなかったが、文献を読み進めるなかで、必要性を感ずるようになったのでこれを行った。
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Strategy for Future Research Activity |
朝鮮の植民地支配において官製婦人団体がどのように位置づけられていたのかを文献や資料から把握する。その際参考文献として以下を参照する。高崎宗司『植民地朝鮮の日本人』岩波書店、2002年、木村健二『在朝日本人の社会史』未来社、1989年、宮田節子『朝鮮民衆と「皇民化」政策』未来社、1985年、樋口雄一『戦時下朝鮮の農民生活誌1939-1945』社会評論社、1998年、水野直樹『生活の中の植民地主義』人文書院、2004年、キム・ヘギョン『植民地下近代家族の形成とジェンダー』ソウルチャンビ、2006年( 韓国語)、水野直樹他『図録 植民地朝鮮に生きる』岩波書店、2012年、松田利彦他編『地域社会から見る帝国日本と植民地』思文閣出版、2013年、庵逧由香監訳『日本の朝鮮植民地支配と植民地近代』明石書店、2012年、蘭信三編著『帝国以後の人の移動』勉誠出版、2013年などを参照する。 引き続き朝鮮愛国婦人会に関する文献資料調査と収集を行う。本年度は主として新聞掲載記事の収集を行う。具体的には以下の新聞を考えている。『朝日新聞 外地版』、『京城日報』、『毎日新報』、『東亜日報』である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
国外(韓国)へ資料調査に行く予定であったが、平成25年度予定していた資料調査・収集について、国内で行うことができたために、予定していた旅費の支出が減となった。 旅費として、韓国への資料調査を実施する。また韓国女性史学会の例会等に参加して韓国の女性史研究者から専門的知識の提供を受ける。国内においても資料収集を進める(国立国会図書館・早稲田大学図書館などを訪問する)。物品を購入する。具体的には『朝日新聞 外地版』を昨年度に引き続き購入する。
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Research Products
(3 results)