2014 Fiscal Year Research-status Report
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25370794
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
白根 靖大 中央大学, 文学部, 教授 (80250653)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 中世 / 系譜史料 / 系図 / 東京大学史料編纂所 / 宮内庁書陵部 / 秋田県公文書館 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、中世系譜史料の事例研究を積み重ね、個別事例の体系化を図ることによって、中世史料学の進展に寄与しようとするものである。また、系譜史料の史料的価値を高める方法論を構築することを通し、史料的制約を抱える分野の一つである東北地域史研究において、系譜史料の活用を広げることを目指す。 今年度は公家系譜史料の事例研究と東北地方に現存する系譜史料の調査を進めた。前者は東京大学史料編纂所と宮内庁書陵部に所蔵されている公家系譜史料を対象とし、後者は秋田県公文書館に所蔵されている系譜史料を対象とした。 このうち、東京大学史料編纂所においては、前年度に史料収集した公家系譜史料に関する追加調査を行い、宮内庁書陵部については、前年度の成果を受けた史料調査・収集を進めた。宮内庁書陵部より収集したのは「九条家文書」「壬生家文書」所収の系譜史料で、いずれも、自家の家系図のみならず、他家の家系図や氏系図も併せ持っているのが特色である。特に「壬生家文書」が幅広い氏族の系図を含んでいる点が注目できる。 また、秋田県公文書館においては、「佐竹文庫」と「秋田藩家蔵文書」に所収されている系譜史料を調査した。その結果、未翻刻の史料を見出して収集したほか、「秋田藩家蔵文書」の中の「北酒出文書」より、系譜史料とともに相伝した古文書群を写真撮影し、史料収集することができた。これは史料群における系譜史料の位置づけなどを追究する素材となる。 一方、前年度に引き続き、東北地方における歴史資料保全活動の調査を進めた。前年度の調査結果を踏まえ、今年度は複数の研究協力者をともなって宮城歴史資料保全ネットワークを訪れ、保全活動の現状と保全された史料群について調査を行った。聞き取りの中で他機関における成果も知ることができたので、今後の追跡調査につなげたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東京大学史料編纂所での追加調査、宮内庁書陵部からの史料収集によって、公家系譜史料の研究対象をさらに増やし、当初の予定よりも厚みのある事例研究につなげることができた。また、秋田県公文書館における史料調査および史料収集も予定通りで、系譜史料と古文書を対照させる史料群を入手(写真撮影による)することができた。 なお、山形大学所蔵の系譜史料については、原本調査を次年度に延期することになった。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、今年度収集した公家系譜史料の比較検討をさらに深め、ある特定の家が幅広い系譜史料を保有・相伝してきた歴史的背景やその意味を追究する。 次に、延期した山形大学への原本調査をはじめ、東北地方に現存する系譜史料の調査および史料収集を進める。秋田県公文書館所蔵史料については、今年度収集した系譜史料と古文書群の研究結果に沿って、追加の調査も視野に入れている。そのうえで、東北地方に現存する系譜史料の活用に資する議論を提起する。 一方で、宮城歴史資料保全ネットワークにおける歴史資料保全活動の調査を継続して進める。
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Causes of Carryover |
山形大学への原本調査が次年度に延期となり、調査旅費や業務委託費(古文書原本の写真撮影・現像・焼付)、資料整理等のアルバイト費など、これに関わる費用を次年度に繰り越して使用するため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
山形大学所蔵史料の研究に関わる上記費用として使用する。
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