2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25370795
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | 0083603 |
Principal Investigator |
横山 百合子 飯田市歴史研究所, その他部局等, 研究員 (20458657)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧原 成征 東京大学, 人文社会系研究科, 准教授 (20375520)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 新吉原遊廓 / 芸娼妓解放令 / 寺社名目金貸附 / 吉原細見 / 豪農 / 江戸 / ジェンダー |
Research Abstract |
本研究の課題は、江戸新吉原遊廓について、(1)"生命の生産”の畸形化された一形態である近世遊廓の構造を、遊女と遊廓社会との矛盾や対抗、さらに遊女を買う男性の側のあり方も視野に入れて具体的に明らかにすること、(2)近世遊廓の社会的・経済的基盤を、農村にも着目して解明すること、(3)近世近代転換期の性売買の変化の意味を検討することにある。 (1)については、①新吉原遊廓の運営主体である遊女屋に関わる史料の発掘に努め、「吉原細見」の画像データ収集、新吉原町名主関係文書、遊廓で遊ぶ武士の日記など新吉原遊廓研究における基本的な史料の調査・撮影を行った。「吉原細見」は新吉原遊廓の内部構造を見る上での基本的史料であり、本研究の推進におけるもっとも基礎的情報源として位置づけられ、次年度以降も引き続き情報収集に努める必要がある。また、名主文書には、幕末期に頻出した遊女による放火など、遊女と遊廓社会の間の深刻な矛盾を示す記述が少なからず存在し、(1)の課題達成のための重要な手がかりを得た。また、新吉原の遊廓経営を金融的に支えた寺社名目金貸附関係史料についても、主に北信濃地域の幕領の豪農関係資料を中心に調査を進め、(2)の課題である新吉原遊廓の構造について、長野県調査を2度実施し、京都門跡寺院―北信豪農層が形成していた広域的な金融関係の存在を実証することができた。また、そのような性売買を支えるシステムの広域的な展開が、遊女の身体そのものの商品化を強めることを明らかにした。 次年度以降は、以上の初年度の成果にたって史料の開拓を進め、遊廓研究の基礎的環境整備を図りつつ(3)の課題である遊廓の近代化の過程に考察範囲を広げていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度計画は、(1)国会図書館・都立中央図書館東京誌料などに含まれる「吉原細見」ほか遊廓関係資料の網羅的収集、(2)江戸新吉原遊廓を対象とする寺社名目金貸附の構造分析とそのための北信豪農家文書の調査、の二点を主な調査対象とした。このうち、(1)について、国会図書館所蔵の「吉原細見」類についてはほぼデータを収集できたが、まだ欠落している年があり、今後調査の範囲を地方にも広げて調査を推進する必要がある。また、(2)の名目金貸附関係史料については、北信豪農関係史料の調査と分析をほぼ終了した。
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Strategy for Future Research Activity |
新吉原遊廓の構造に関わる調査研究は順調に進行している。次年度は、特に明治初年の史料的検討に重点をおく予定である。
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Research Products
(11 results)