2014 Fiscal Year Research-status Report
中世後期の山野紛争データベースの作成による地域社会形成に関する研究
Project/Area Number |
25370798
|
Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
小林 一岳 明星大学, 人文学部, 教授 (20298061)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 紛争 / 環境 / 一揆 / 村落 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は中世の山野紛争関係史料をできる限り網羅的に収集し、データベースを作成することにある。それにより、中世社会 の紛争と秩序形成がどのように関連しているのか、また村落・荘園・一揆・大名・国家権力がその問題についてどのような関係を取り結んでいるのかを考察する。先に交付を受けた科研費の成果として、すでに平安~鎌倉時代のデータベースについては作成が終了している。この研究ではそれを 継続し、南北朝期~戦国時代までの関係史料のデータベース化を行う。具体的には、公刊されている都道府県史の中世資料編を基本デ ータとして3名の研究協力者(アルバイト)が分担して収集作業を実施した。 その結果、前年度分に加えて三重・和歌山・兵庫・鳥取・島根・香川・徳島・高知・愛媛・広島・山口・宮崎・大分まで作業が終了し、98点の山野紛争関係史料を収集することができた。今後はさらに作業を継続し、次年度には残りの九州~近畿地方を対象とする予定である。 史料収集と平行して、特定の地域を限定し、周辺史料の調査やフィールド・ワークにより、地域から紛争と秩序形成の実態をさぐることも行った。今年度は、昨年度に継続し南山城・大和・伊賀国境地帯の調査を実施した。 具体的には、京都府井出町高神社周辺・京都府木津川市涌出神社周辺・京都府南山城村田山地区である。今年度は文書の撮影・調査を中心に南山城郷土資料館で調査を実施した。高神社文書の資料館寄託部分である中世の帳面類の調査と、資料館寄託の田山地区の宮座文書の調査を実施した。さらに南山城地区と比較するために、15世紀の紛争資料が残る、摂津・播磨国境地帯の淡河荘・山田荘地域の資料所在調査を神戸市立文書館で実施し、合わせて現地調査も行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
山野紛争データベースの作成については、東北・関東・中部・近畿・中国・四国・九州地方の一部について、県史資料編を中心に山野紛争関係史料の収集が終了している。3年計画の2年目として順調だといえよう。また、フィルード・ワークについても南山城・大和・伊賀国境地帯について、山野紛争と村落との関係、宮座などの村落組織と惣国一揆の関係などについて調査が進められ、高神社文書、田山地区の宮座文書については撮影等の調査が終了している。さらに摂津・播磨国境地帯の紛争関係文書の所在調査と現地調査も終了している。
|
Strategy for Future Research Activity |
山野紛争データベースの作成については、大阪・京都・滋賀の県史類がない近畿の市町村史と残りの九州地方までを実施する。同時にデ ータの入力作業を行ってデータベースを作成し、報告書の形式で研究成果報告をすることを予定している。 フィールド・ワークについては、昨年度と同様に南山城・大和・伊賀国境地帯の調査を継続し、特に木津川市涌出神社の宮座関係史料と現地調査を予定している。また、室町期に守護赤松氏を巻き込んでの激しい山野紛争を起こした、播磨国淡河荘・摂津国山田荘の国境地域の紛争に関わった荘官文書と、近世の山野紛争資料の調査及び現地フィールドワークを行うことで、南山城地域と比較的に考察して、研究をより立体的にすることにしたい。
|
Causes of Carryover |
理由) 旅費について400000円を計上していたが、予定していた研究者協力者が他の調査日程と重複したため、当該年度の旅費については、すべて使用できなかった。また謝金については、予定していた研究協力者1名が、所属大学での研究業務の都合上参加できなくなったため、1名分余ってしまった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
使用計画) 残りの旅費については、次年度分と合わせて現地調査を実施することで消化したい。また、謝金についてはデータベースの入力作業のための人員を増やすことで使用する計画である。
|
Research Products
(1 results)