2015 Fiscal Year Research-status Report
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25370804
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| Research Institution | Hanazono University |
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Principal Investigator |
鈴木 康子 花園大学, 文学部, 教授 (00281501)
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2013-04-01 – 2017-03-31
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| Keywords | 長崎奉行 / 工藤平助 / 報国以言 / 抜荷 / 長崎御奉行控 / 朝鮮人参座 / 銅輸出価格 / 松平定信 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
一昨年度に天明前期の長崎奉行戸田出雲守による長崎貿易改革を明らかにし、昨年度は、天明後期の長崎奉行末吉摂津守による改革について解明した。
そこで、『赤蝦夷風説考』により田沼政権による北方政策に大きな影響を及ぼした工藤平助が、長崎貿易改革について記した「報国以言」に注目した。これは『赤蝦夷風説考』と同時に天明3年正月に幕府に提出された。しかし、これについての論考が、これまで全くなかった。しかし、これまで天明期の貿易改革を調査し、寛政の改革の論文作成のために史料調査をしていく中で、この「報国以言」が、その後の幕府による貿易改革に大きな影響を与えているように思われた。そこで、まずこの意見書の詳細な分析が必要と思われた。そこで、この意見書の構成、その概要、そして重要な改革方針の骨子をまとめた。そのうえで、この意見書が天明・寛政期の長崎貿易改革に少なからず影響を及ぼしていることを実証していった。
また、長崎歴史文化博物館所蔵の「長崎御奉行交代控」について分析を進めている。歴代の長崎奉行の記述は、さまざまな形で残されているが、この史料の特徴は、幕末期の記述が、他の史料と比較して詳細に書かれている点である。それを紹介した。
そして、長崎の長崎歴史文化博物館所と鹿児島大学附属図書館などで、18世紀末から19世紀中期までの長崎奉行の史料や対外交渉関係の史料調査を行った。そうして撮影した史料の重要な部分は、複写して整理し、すぐ分析できるような体制を整えた。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
幕末の長崎奉行研究をするうえで、18世紀末に行われた寛政改革における長崎貿易政策を解明する必要があることが、研究を進めていくうちにわかってきた。寛政改革は、幕府による長崎貿易政策の転換点であり、ここで決定された方針が、幕末まで根幹となって展開していくのである。その寛政改革を知るうえで、その前の時代である天明期までの貿易状況（田沼による長崎貿易政策）を理解できなければならなかった。
その中で、工藤平助「報国以言」の存在を知った。これが、これまで長崎貿易研究者から全く顧みられないままになっていたが、これまで天明期の改革を解明してきた知識を通してみると、この意見書は天明期からの幕府による貿易政策の指針とされたもののように思われた。そこで、この意見書の分析なしに、先へは進めないと考え、この分析を行い、論文として発表した。そのため、研究全体としては多少の遅れを生じさている。
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| Strategy for Future Research Activity |
まず、松平定信による寛政改革における長崎貿易改革の全貌について明らかにする。これまで、寛政改革については、オランダ船・唐船貿易ともに全体の貿易額や来航船数の制限のみが強調されているが、それだけではなく、貿易の細かな制度まで改正がなされている。これにより、幕府による長崎貿易政策の具体的な政策と、その方針について解明する。これは「寛政改革と長崎貿易」と題して論文作成する。
また、長崎奉行が文化的な貢献をしたことについても、寛政後期の長崎奉行中川忠英によって編集された『清俗紀聞』を中心に考察していく。
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| Causes of Carryover |
27年度に予定していた製本を、28年度に行うため。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は、長崎歴史文化博物館において史料調査をする。また、国立公文書館や国会図書館において、幕末の長崎奉行関係史料を調査する。これらの調査により、撮影・複写した史料について整理作業を行い、一部の史料は、製本していく。
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Research Products
(2 results)
