2014 Fiscal Year Research-status Report
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25370805
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
青山 忠正 佛教大学, 歴史学部, 教授 (30159305)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 京都留守居 / 新発田藩関係文書 / 新発田市立図書館 / 明治維新史学会 / 孝明天皇 / 条約勅許 / 破約攘夷論 / 下関戦争 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は、研究協力者4名とともに、平成26年8月に、新潟県新発田市立図書館を訪問し、所蔵されている新発田藩関係文書を調査した。これらの文書は、本研究の対象である佛教大学附属図書館所蔵の新発田藩京都留守居寺田家文書に直接に対応するもので、調査は必須の作業である。ただし、新発田市立図書館所蔵分は、その量が膨大であるため、一回の調査で、完全に目的を達成することは不可能であり、とりあえず、その全容をだいたい把握するとともに、どのような史料が、本研究にとって有益であるかの概略をつかむことができた。 また研究代表者は、9月に、2014年度明治維新史学会関西拡大例会「幕末史を再考する‐元治元年から150年」において基調講演を行い、また10月に筑波大学人文・文化学群シンポジウム「グローバル・ヒストリーと異文化理解」において報告を行った。これら報告に共通するテーマは、文久年間の破約攘夷論の意義、元治元年の下関戦争の国際的な背景、さらに孝明天皇による慶応元年の条約勅許というものである。とくに、勅許の際には、諸藩京都留守居を御所に召集して意見を聴取するという行事が行われた。それらの意味で、本研究のテーマである「京都留守居を通した公武関係史の研究」の一環をなすものである。 研究代表者は、以上の報告を文章化し、「通商条約の調印と天皇」と題して、佛教大学『歴史学部論集』第5号、2015年3月、及び「密勅三題」と題して、『茨城県史研究』第99号、2015年3月に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新発田市立図書館所蔵の新発田藩関係文書は、存在自体はこれまでにも知られていたが、主要な研究の対象にされず、また佛教大学附属図書館所蔵の寺田家文書との対応関係も不明確なままであった。今回の調査により、両者の対応関係を確認することができた。新発田藩政文書によれば、寺田政得は、京都の町人身分の出身ながら、たしかに国許でも「京都留守居」として認知されていること、および役人帳簿類にも氏名が掲載されていることなどを確認できた。これらは、町人から武士へという身分上昇と、その藩政府側での認知の状況を見るうえで貴重な成果である。 さらに、それらの背景に当たる全般的な政治状況について、学会やシンポジウムで報告できたこと、また、その内容を、研究誌上で活字化して公表できたことなど、研究の進展ぶりを具体的に表示できる。
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Strategy for Future Research Activity |
新発田市立図書館所蔵の新発田藩関係文書について、主要な関係文書を、平成26年度の調査でピックアップできたので、今年度は、主にそれらの撮影と解読を進める。 また、文政期から明治10年ころに及ぶ「寺田家御用留」については、平成26年度中にその翻刻作業が完了したので、さらに正確さを期すための校正作業を、今年度に行い、ウエブまたは印刷媒体など、何らかの方法で公開することを目指す。 研究そのものとしては、新発田市立図書館所蔵文書中から発見した、「御十二代記」(溝口直正の伝記の形式をとった史料集)を主な史料として用いながら、明治初期の地方制度としての「新発田藩」の成立と制度的な運用の実態を明らかにしてゆきたい。このような研究は、史料的な制約により、つまり好適な史料がこれまで発見されていなかったため、ほとんど進展が見られなかったものである。
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Causes of Carryover |
『寺田家御用留』の翻刻にあたり、実際の作業を行った研究協力者5名に、統一基準に基づいて謝金を支給する際に、単価の設定を翻刻1字あたりにするか、もしくは翻刻1丁あたりにするか、また、それぞれの場合、単価をいくらに設定するのが合理的か、などの要素について、作業がある程度以上、進捗してみないと、比較計算が困難であった。結果的には、1丁あたり単価として支給したが、作業完了と、支給時期が、予想よりずれ込み、全26冊のうち、3冊を余す結果になり、その作業を、平成27年度に持ち越したためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上に述べたように、御用留の翻刻作業を継続し、できる限り統一基準に基づいて、作業を行う研究協力者に、翻刻作業の謝金として支給することで、使用する。
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Research Products
(4 results)
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[Presentation] 下関戦争と天皇2014
Author(s)
青山忠正
Organizer
2014年度明治維新史学会関西拡大例会
Place of Presentation
キャンパスプラザ京都
Year and Date
2014-09-13
Invited