2014 Fiscal Year Research-status Report
イランにおける「近代性」の意味変容と「国民」の創生
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25370821
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
黒田 卓 東北大学, 国際文化研究科, 教授 (70195593)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 東洋史 / イラン近代史 / 比較交流史 / 多国籍史料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、イランにおける「近代性」との邂逅が、19世紀に入っていかに咀嚼・解釈され、そして国内外からの支配に対抗するする拠り所へと変容していったかを、イランの国境の外、すなわちインド北東部、オスマン帝国帝都イスタンブル、ロシア領ザカフカース(南コーカサス)にて活躍しイランの「近代性」生成に貢献したものの、その生涯や著作が存外に知られていない人物3人に照明を当てることを通して解明することを主な目的としている。 本年度は、イギリス外交官モーリアのピカレスク小説『ハジ・ババの冒険』等をペルシア語に翻訳する一方で、近代的な文法記述を盛り込んだペルシア語文法書・教本を刊行することによって、近代ペルシア語の平易化、そして規範化に寄与した、イスタンブルへの亡命知識人、、ミールザー・ハビーブ・エスファハーニーを取り上げる年次計画を立案していたが、彼の『ハジ・ババの冒険』ペルシア語翻訳本の成立経緯を調査するとともに、同テクストを一通り読解するところに留まった。むしろ、昨年度の課題であったインド在住イラン系文人官僚の西欧像に関する作品群が扱うトピックの豊富さや作品群が予想以上に多量に残存していることが判明したために、本年度も引き続き、その代表的人物であるミールザー・アブー・ターレブ・ハーンの旅行記『求道者の旅路』の記述分析に力を割いた。 とりわけ「インド在住イラン系文人アブー・ターレブ・ハーンがみた英仏戦争」と題する研究発表を行い、①ヨーロッパの政体分類とフランス革命への視線、②ナポレオンの台頭とエジプト遠征、③第4次マイソール戦争とティープー・スルターンの死、などを基軸にして、ムスリムが目撃も含め観察した、おそらく唯一無二の、ヨーロッパ一大変動期の記録に表れる特徴を炙り出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題の計画立案の時点では予期していなかった所属研究科の研究科長職に就くという事態の変化が生じ、昨年度は少々研究環境の点で好転するのではと予想したが、やはり当初計画で予定していたような研究時間やエフォート率を確保することができず、研究発表を行うので手一杯であった。それゆえ、予定していた研究計画の水準からは、多少の遅滞が生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究科長の職責がさらに2年の任期で再任となったため、研究計画策定時に想定していたエフォート率を満たすことは、現在の職務事情を勘案すると相当困難と言わざるをえない。ただし、平成26年度に比すると、エフォート率は若干好転すると期待され、とくに夏季や冬季の休暇期間を活用して、研究課題に取り組み、昨年度から積み残した史料読解や論文作成などの作業を遂行するとともに、最終年度計画にも着手し、とりまとめを行いたいと考えている。
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Causes of Carryover |
本研究課題を立案した時点では予期していなかった所属研究科の研究科長職に就くという事態の変化が生じた。そのため、当該年度に予定していた資料調査や研究交流のための海外出張を行うことが不可能になったため、少々次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27度も引き続き研究科長職を務めるざるを得ないが、平成26年度に比べるとエフォート率などは多少好転する見込みである。それゆえ、海外調査などと合わせて、使用する計画である。
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Research Products
(1 results)