2014 Fiscal Year Research-status Report
中国明清交替期における人事・科挙制度の変革とその継承に関する研究
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25370822
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大野 晃嗣 東北大学, 文学研究科, 准教授 (50396412)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 科挙 / 朱巻 / 中国近世人事制度 / 執事官 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度(平成26年度)は、二つの方面で研究を進めることができた。一つはLeiden University(Netherlands)に所蔵されている明清科挙関係の資料調査及びその研究であり、もう一つは明代会試考官制度の変遷に関する研究である。まず前者については、明代にすでに行われていた、自らの科挙答案を縁故者に配るという習慣が、清末でどのような形をとっていたのかの具体例(『道光甲辰恩科 順天郷試朱巻』)を発見し、その内容について検討することができた。この成果については、2014年11月に中国広州市で行われた国際科挙学会の報告集に掲載することができた。また、後者については、科挙試験の担当官の中でも、「執事官」(事務官)の制度について、明代の中で数回の大きな変革があったことを明らかにし、その政治的背景について分析を加えた。この成果については、2014年10月に中国広州市で行われた第五届中国古文献与伝統文化国際学術検討会で発表を行い、とりわけ日本学関係の先生から多角的なアドバイスを頂いた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
清末の史料にまで研究対象を広げられたことは有意義だったが、それらを正確に分析するには、外交史やさらには所蔵機関の歴史に関する知識などを更に深めなければいけないと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
プログラム計画時点で予定していたヨーロッパに現存する明清中国関係(特に官僚制度・人事制度に関するもの)資料の収集は順調に行えた。また非常に特徴的な科挙史料を発見できたことからは、研究内容を踏み広げていく上で大きな示唆を得た。ただし、概ね清代の史料となるそれらを、明代の制度や慣習と比較して繋げていくためには、外交史や外交官の報告書など多方面の文献を駆使する必要がある。またEngland所蔵の明清人事資料についての情報も、専門家から教示を受けることができたが、更に現地調査を行い自分の目で確かめる必要があると考えている。
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Research Products
(4 results)