2014 Fiscal Year Research-status Report
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25370823
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
中村 篤志 山形大学, 人文学部, 准教授 (60372330)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | モンゴル / 清朝 / 王公 / 日記 / 宮廷儀礼 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、中間年度にあたり、以下の二つを主な課題とした。まず、国内学会や国際シンポジウムで積極的に成果を発表することで、情報交換や議論の共有化に取り組むこと、そして、国内国外の各研究機関・図書館における史料調査および収集を集中的におこなうことである。これら研究活動や史料調査を通じて、埋もれている史料を発見し、それら新史料と、すでに収集したモンゴル王公バボードルジの光緒9(1883)年乾清門行走日記などを相互に比較検討することで、本研究の深化と体系化につとめる計画であった。 史料調査については、夏期に台湾で調査を行ったほか、国内では東京、仙台、秋田、名古屋などの関係機関で調査を行った。それらの成果として、第一に、新たなモンゴル語日記史料を収集できた。その史料は、内モンゴルの王公が北京に値班した際の日記であり、上述のバボードルジの日記と比較検討する格好の材料を得た。現在、研究協力者と協同で、次年度の公開をめざし分析・整理中である。第二に、上述のバボードルジの日記について資料全体の公開に目途を付けた。日記中に出てくる儀礼こちらも刊行をめざし整理中である。その他、清朝宮廷文化に関わる史料を収集できた。 成果公開については、国内での学会発表3回、研究会報告2回、国際シンポジウム報告1回と当初計画した以上の回数をこなすことができた。反面、新史料の発見とその整理に時間が取られ、論文の刊行については年度をまたぐこととなってしまった。次年度の最終年度に向けて鋭意成果の公開に力を注ぐこととしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の特徴のひとつは、モンゴル語や漢語、満洲語などの多言語で書かれた史料、特に刊行・研究が進む行政文書とは異なる、個人の日記史料を扱うことにある。従来、未刊行・未調査の史料を収集するために、広汎な史料調査が不可欠である。本年度では、引き続き国内・海外での史料収集および従来知られていなかった(利用されてこなかった)関連史料の発見と収集につとめる計画であった。 実際には、上述の如く、モンゴル王公が北京宮廷に参内した際のモンゴル語日記を新たに収集することができたほか、すでに収集した日記史料の公開など、学会全体に裨益するような史料の共有化に目途が立った。また国内外の所蔵機関にアクセスし、漢文で書かれた日記史料や宮廷儀礼に関する史料を収集したほか、宮廷文化に関連する史料も収集することができ、最終年度の円滑な調査・研究が進められる環境が整った。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は最終年度に当たるため、研究成果のとりまとめ、および成果の公開に注力する。史料分析の主たる対象は、引き続きモンゴル王公バボードルジの光緒9(1883)年乾清門行走日記であり、史料の公開に向けて分析・整理を進める。また内モンゴル王公の日記についても、分析・整理を行い、公開する予定である。 またモンゴルに派遣された大臣らの漢文日記史料も一部を収集している。それらの分析にも着手し、年度末までには分析を終え、基礎的考察や紹介記事を公開したい。 史料調査は、継続して東京東洋文庫始め国内外の研究機関および台湾・中国の各研究機関においておこなうが、当初改修中とされていたモンゴルの国立中央公文書館が閲覧可能な場合は、モンゴルでの史料調査も検討している。
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Causes of Carryover |
当初2014年度に購入を予定していた大型の中国出版書籍の出版が遅れ、2015年度にずれ込むこととなった。また、上述のように、本年度の史料収集は順調に進んでおり、現在は、既収集史料の整理と分析、公開に向けた作業を行う必要があったため、無理な支出をせず、次年度の書籍購入費として繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度(2015年度)の使用計画は以下のとおりである。物品費(40万を予定)は理藩院題本など大型の書籍の購入が見込まれるほか、海外での貴重書籍購入や文献複写代として計上した。旅費(約30万を予定)は、台湾・モンゴルでの調査、および国内学会・研究会での成果発表に当てる予定である。人件費・謝金(5万を予定)は、史料の収集や翻訳に関わる研究協力者へ支出する予定である。その他(5万を予定)は、膨大な収集史料を整理するための学生・院生の雇用代として計上した。
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