2013 Fiscal Year Research-status Report
洋務運動期の清朝による諸改革からみた一九世紀後半のマンチュリアにおける歴史的変動
Project/Area Number |
25370828
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
古市 大輔 金沢大学, 歴史言語文化学系, 教授 (40293328)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 東洋史 / 清朝 / マンチュリア |
Research Abstract |
本研究課題は、19世紀後半の洋務運動期におけるマンチュリア(満洲・のちの中国東北部)で清朝が実施した政治・財政・軍事などの諸改革とその政策決定過程・政策意図を検討し、その全体像を明らかにしつつ、かつ、その意義を再検討しようと試みるものである。これまでの研究成果における見解に対する再検討を意図しつつ、従来の清代マンチュリアにおける歴史的変動とその特質・意義についての新たな視点を構築することを目的とする。 本年度は、まず、マンチュリア南部(盛京)における政治・財政・軍事各面での諸改革に関する研究成果(研究代表者のそれも含む)に基づき、それらの改革案や政策決定過程、改革の理念や意図、改革の実施と結果(成否)についてのデータを整理した。併せて、実録・地方志や档案類、個人年譜など、公刊された史料のみならず、国内に所蔵されている未公刊史料を筆写・複写するなどして、19世紀後半のマンチュリア北部(吉林・黒龍江)で断行された諸改革とその遂行者たち(官僚)に関する記事の一端を抽出し始めたところである。なお、記事を抽出し終えている部分については、改革の背景、改革の遂行者たちによるその改革案、さらに、改革の理念や意図などの検討も試みつつある。 なお、上記の作業と併せ、小稿を作成・公表したが、そこでは、19世紀後半のマンチュリアにおける諸改革の淵源・背景ともなった19世紀前半の諸問題についても、いくらか言及したところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画に記したように、本年度は、マンチュリア南部(盛京)における政治・財政・軍事各面での諸改革に関するデータの整理を主たる作業内容としたが、これに加えて、本学や国内に所蔵されている刊行史料・未刊行史料から、吉林・黒龍江などのマンチュリア北部における諸改革を記した記事を抽出することにもすでに着手しており、本研究は概ね順調に進んでいると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度に引き続き、19世紀後半の吉林・黒龍江で断行された諸改革とその遂行者たち(官僚)に関する記事の一端を公刊・未公刊史料の中から抽出・整理することが来年度の中心的な作業内容となるが、この点については、学外(国外も含めた)に所蔵されている未公刊史料の調査も継続しつつ、本研究を進めていきたい。 次に、19世紀後半のマンチュリアにおける清朝の諸改革についての記事整理を可能な限り早めに終了させることに努め、それぞれの諸改革の背景・内容・意図・特徴・意義などの比較検討、すなわち、諸改革間の連続性や改革内容の相似性・相違性などについての検討も併せて試み始めたい。また、上記の作業に併せ、そうした諸改革の遂行者(官僚)の動向や人間関係、さらには、そうした諸改革と洋務運動との相互関連などにも適宜触れてみたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品並びに書籍(公刊された史料など)などを購入するに際して、その予定額よりもいくらか安価で購入でき、実支出額に若干の残額が生じたため。 基本的には研究計画を大きく変更する予定はなく、今年度に生じた若干の残額は、次年度に購入を予定している物品・書籍(公刊された史料など)の購入費用の一部として使用するつもりである。
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