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2013 Fiscal Year Research-status Report

Ruh紙の分析とアルジェリア民族運動の再考―ザーウィヤの青年たちの思想と活動―

Research Project

Project/Area Number 25370839
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

Research InstitutionSophia University

Principal Investigator

私市 正年  上智大学, 外国語学部, 教授 (80177807)

Project Period (FY) 2013-04-01 – 2017-03-31
Keywordsナショナリズム / アルジェリア / イスラーム / 北アフリカ / ウラマー / 民衆イスラーム
Research Abstract

本年度、実施した研究の概要は次の通りである。
(1)ナショナリズムの研究史と理論的枠組みの整理を行った。とくに参考にしたのはエスニシティを重視するアンダーソンのナショナリズム論である。アルジェリア・ナショナリズム研究については、アリー・ムラドの「ウラマー協会」研究とマックドゥガルのHistory and the Culture of Nationalism in Algeriaの読み直し作業を行い、研究史の整理と事実の再確認を行った。
(2)チュニジアとアルジェリアに調査出張(8月~9月、25日間)し、以下のことを行なった。チュニジアでは国立図書館にてチュニジア・ナショナリズム運動に関する文献調査を行った。アルジェリアではal-Hamilの文書館と図書館にて植民地期の資史料の調査・収集を行った。Foued Kacimi氏と共同でal-Ruh紙の読解と分析を行い、読解がすんだところは、テキストをコンピュータに打ち込む作業を行った。
(3)アジア文化研究所「文化遺産」プロジェクトで本研究の中間報告を行った(2014/1/22)。
インドネシアStain・イスラーム大学にて本研究の今年度の成果報告をかねて研究発表(英語)を行った(2014/3/13)。ウラマー協会の史料であるBasair誌などによって、ウラマー協会とZawiya al-Hamilとの関係を示す史料の言及箇所を抜き出す作業を行った。今年度行った研究と調査結果の整理を行った。それにより明らかになった事実は、al-Ruh紙の寄稿者たちの思想的斬新さは必ずしも一部の青年たちに限られるものではなく、広くアルジェリア社会に共有されていた可能性があることである。この問題点に沿って平成26年度計画の一部、修正を行った。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

以下のような作業と分析を終え、予定通りの成果が得られたのでおおむね研究は順調である。
作業としては、従来のアルジェリア・ナショナリズム運動史の整理ができ、FLNにつながる世俗主義的ナショナリストの潮流と、サラフィー主義的イスラーム改革思想「アルジェリア・ウラマー協会」の潮流の間の軋轢と相互乗り入れの両面が明らかになったことである。al-Hamilのザーウィヤでは、フランス植民地期も途絶えることなくイスラーム教育やアラビア語教育がなされ、そこで育った青年たちはエジプトやチュニジアで発行された新聞や雑誌を読み、アラブ・イスラームの諸外国の動きを把握し、その影響を受けていた。彼ら若い世代は、ザーウィヤの指導者たちとは異なり、アラブ・ナショナリズム思想や革命闘争やパレスチナ問題への共感などを身につけ、それを行動に移そうとしていたことなどが明らかになった。
成果としては、al-Ruh紙の読解が全体の30%程度終えたこと、さらにその分析により、ザーウィヤの青年たちの革命志向と、独立戦争中にFLNが主張したアラブ的、イスラーム的武装闘争とのイデオロギー的関連性が実証できる見通しを得たこと。また、al-Ruh紙に寄稿していた青年たちは、エジプトやチュニジアやシリアなどの新聞・雑誌を読んでいたこと、およびal-Ruh紙の内容分析により、20世紀半ばのアラブ・イスラーム知識人たちの情報ネットワークの広がりの具体像(チュニジアやエジプトへの留学など)が明らかになったことである。

Strategy for Future Research Activity

研究計画に沿い、以下のような作業と調査を進める。
(1)al-Ruh紙の本格的読解と分析を進めつつ、al-Ruh紙に寄稿した青年たちの思想―とくに急進的な革命志向―形成とその背景を考察する。
ウラマー協会とZawiya al-Hamilとの関係を示す史料の言及箇所について、内容分析を行う。さらに平成26年8月~12月にかけて、アルジェリアに調査出張(8月~9月、25日間)し、Foued Kacimi氏と共同でal-Ruh紙の読解と分析を行なう。al-Ruh紙の寄稿者への聞き取り調査と、Tolgaのザーウィヤを訪れ、史料調査を行う。関連史料が見つかった場合は、予備的な分析も行う。アルジェリア調査で入手した資史料の整理と分析を行う。
(2)研究協力者Foued氏とメール上で史料の分析結果と問題点について意見交換し、研究の中間総括を行う。これまでに行った研究と調査結果を吟味、考察し、問題点の発見と整理をしたうえで、平成27年度計画の一部、修正を行う。
(3)al-Ruh紙のパソコンへの打ち込み作業を進める。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

当該年度(2013年度)中に購入予定をしていた文献資料(al-Hamil文書館所蔵のZawiyaとアルジェリア・ウラマー協会関係)のコピー入手が、図書館が休館中によりアルジェリア出張期間中にできなかったため。
次年度(2014年度)、アルジェリアに出張期間中に資料をコピーし、その費用として使用する予定である。

  • Research Products

    (4 results)

All 2014 2013

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] FISの勝利とアルジェリアの民主化挫折の再考―1988年暴動から1922年クーデタまで―2014

    • Author(s)
      私市正年
    • Journal Title

      上智ヨーロッパ研究

      Volume: 6 Pages: 95-124

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] アルジェリアにおける軍とクランと地域主義2014

    • Author(s)
      私市正年
    • Journal Title

      北アフリカ地域における主要『部族』の役割

      Volume: 1 Pages: 101-121

  • [Journal Article] フランスによるサハラ地域の植民地化とトゥアレグ問題2013

    • Author(s)
      私市正年
    • Journal Title

      歴史と地理

      Volume: 666 Pages: 1-16

  • [Presentation] The Youth of the Zawiya al-Hamil around the End of the 1940's, Their Algerian Nationalism Thought and Movements-A Preliminary Analysis concerning the Newfound Documents"al-Ruh"2014

    • Author(s)
      私市正年
    • Organizer
      International Seminar on Islamic Area Studies
    • Place of Presentation
      State Islamic College, Lampung-Indonesia
    • Year and Date
      20140313-20140313

URL: 

Published: 2015-05-28  

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