2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25370840
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小松 香織 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (10272121)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | オスマン帝国 / 近代 / 年金制度 / 海運 |
Research Abstract |
本研究は、オスマン帝国末期の官営汽船会社の人事記録に関する文書を分析することにより、(1)イスラーム 社会における社会保障のあり方としての年金制度の実態、(2)オスマン帝国末期の人々のくらしや人生を明らかにしようと試みるものである。この目的を達成するために、トルコ海運公社史料室所蔵の「個人記録文書」と「個人記録台帳」の2つの史料群を取り上げ、それぞれについて詳細なデータ・ベースを構築し、分析する作業を行うものである。その後、統計によって得られた数量的なデータと個々の事例、すなわちパーソナル・ヒストリーの両面から、オスマン帝国末期の社会の構造的な理解に結び付けていく予定である。 本年度はイスタンブルのトルコ海運公社資料室における史料収集に重点を置いた。特に「個人記録文書」のNo.768からNo.808、No.819、No.956からNo.1003のファイルの内容を確認し、必要な書類については、デジタルカメラによる撮影を行った。また、特に重要と思われる史料については、可能なものは電子複写を、不可能な場合は筆写による収集を行った。その結果得られた数値をデータ・ベース化する作業を進行中である。 また、アタテュルク図書館では19世紀末から20世紀初頭のオスマン語、欧米語の新聞の中から、海運関係の記事の収集を行った。その他現地の図書館、書店を巡り、年金問題に関する欧文、トルコ語文献の収集を行った。数回にわたりマルマラ大学のヌルシェン・コラルテュルク助教から情報の提供を受け、研究についての意見交換を行った。 これまで収集したオスマン帝国官営汽船に関する史料に、今年度収集したデータを加えて、英文の研究ノートを作成し、8月にトルコのアンカラで行われる国際中東学会で報告する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の中心史料であるトルコ海運所蔵の「個人記録文書」は約1000人分にも及ぶため、収集には相当の時間を要する。本年度は現地調査期間が短かったため、ある程度数を絞り込んで臨み、おおむね予定していた件数を消化することができた。ただし、収集したデータの分類・整理作業はデータ・ベース化にあたってフォーマットの作成に関して試行錯誤を繰り返したためやや遅れているが、全体の計画を見直すほどではない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き参考文献および一次史料の収集を続ける。史料の収集に関しては前年度同様トルコ海運所蔵の「個人記録文書」に重点を置くが、今年度は夏期に行う現地調査においてアンカラの総理府公文書館を訪れ、関連史料の探索を行い、データ・ベースのさらなる拡大をめざす。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
収集史料の保存とデータ・ベース構築のため、ノート・パソコンの購入を予定していたが、選定した機種の機能に問題があったため、購入を次年度に延期したことによる。 本年度の未使用額は購入を見送ったパソコンの購入費に充てる予定である。
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